SYNECDOCHE, NEW YORK

妄想ニューヨーク』鑑賞
近年見た中では、飛びぬけてわけのわからん話。


妻子に捨てられ、色々とうまくいっていない劇作家。天才賞を受賞し、その賞金でNYそのもののセットを作り、そこで自分の人生を舞台化し始める……


と、あらすじだけだと、メタなだけで食べやすそう。
NYの中にNYを作り、自分を演じる役者に指示する自分を演じる役者、というような入れ子構造がメインにあり、その中で人生が演じられていくものの、結局は人生は各々が主人公、もしくはそう思っているだけで、人生なんてものは別の人間の指示を受けているのかもしれない……。見ているうちに、主人公の人生は、どこからがこの舞台劇の再現なのか分からなくなってくる。
ただ、この映画をわけわからないものにしているのは、本来確固としているはずの、舞台(ファンタジー)の外の描写で、主人公をずっと観察しているストーカー(?)、いつも火事で燃えている家、虫眼鏡じゃないと見えない絵画、刺青の花が枯れていく女性、どうやら終末に向かっているような世界。この辺が全く説明がなく、異色短編やマジックリアリズムを映像化されると、かなり面食らうことが分かった(笑)
これらのエピソードを気にし始めちゃうと、たぶんそこで止まっちゃう。舞台と舞台の中で表現されているもの以外は、主人公には関係ないんだけよね。それらにはまた別の人生があって、別のお話。自分の人生を見るだけで精いっぱい、その中で精いっぱい生きる、とごく当たり前のメッセージ……だと思わないとこの映画は頭が処理しきれない。
うまくまとめられないので勘弁して。


変な話好きにはオススメ。疲れるけど。