OUR ECSTATIC DAYS

エクスタシーの湖

エクスタシーの湖

『エクスタシーの湖』スティーヴ・エリクソン筑摩書房
あらすじを捻り出すのが難しいので引用。

突然ロサンジェルスの中心部に現れた巨大な湖。息子を救うために湖底へと潜っていく主人公クリスティンの物語と、2017年西海岸のゲリラ隊の物語が絡み合う。原書の実験的なレイアウトを邦訳版でも再現。北米のマジックリアリスト、エリクソンのカオス的な想像力が炸裂!

こんな単純な話じゃございません。
わかりやすくまとめると、『ツインピークス*1デヴィッド・ボウイの登場シーンを400ページ読んでる感じ(笑)
数少ないエリクソン体験の中で例えるなら、『Xのアーチ』*2に近いかも。過去も未来もすでに存在しており、時空を縦に貫くことによって、それらを垣間見ることが出来る。今回はそれが文章だけでなく、レイアウトでも実際に表現されていて、これが効果的であると同時に、かなり読むのに時間がかかる。
また、空間は、時間を超越して横に広がっていき、湖をゆらゆらと漂う感じは『黒い時計の旅』*3と感触が似てるかな。
空間を貫く時間、時間を無視する空間、この二軸の中に分布している人々の顔が増えて行くにつれて、超越的な物語は普遍的となり、愛情や喪失を共有していくことになる。
まぁ、正直、よく飲み込めてないんで、他とは違う読書体験は自分で確かめて欲しい。ただ、『真夜中に海がやってきた』*4と続いている(パラレルに?)ので、未読の方はそちらから入ることをオススメ。帯に書いといてくれれば読んだのに(未読がここに一人……)