THE RED TREE

レッドツリー―希望まで360秒

レッドツリー―希望まで360秒

『レッドツリー』ショーン・タン〈今人舎
ショーン・タンの唯一の邦訳書(今のところ)。
自分(幸せ)探しをテーマにした絵本で、『THE ARRIVAL』と同じく、陰鬱な状況から希望ある結末にいたる心象風景が、質感と幻想を併せ持ったイラストで綴られていく。また、『THE ARRIVAL』よりもメッセージははっきりしていて、それが絵の中に明示されている。
主人公の女の子が本当に寂しそうで、ダークファンタジー風の重圧に押しつぶされて、常にうつむいて歩いている。だからこそ、ラストの希望がひじょうに明るく映える。
この作品には文章があり、それがタイポグラフィでイラストともに心象風景を表しているのもいい。それを残したまま、下に日本語があるんだけど、やはりテンポは失われてしまうので、原著の方がいいかも(簡単な英語だし)……と思ったら、高いなぁ。