2009年12月号

S-Fマガジン 2009年 12月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2009年 12月号 [雑誌]



今月は、恒例の『秋のファンタジイ特集』
FT文庫30周年ということで、カラーページにカバーアート集。
『魔性の犬』*1はやはりいいなぁ。一度見たら忘れられない。
載ってないけど、個人的には『死せる魔女がゆく』*2が迷走を表しているようで、結構好きだったり(笑)
今後のラインナップは大河シリーズばかり。〈ブラド・タルトシュ〉シリーズ*3は出ないの?
あと、『魔法探偵スラクサス』*4は……
三村美衣さんのオススメ十選の中に『裏切りの月に抱かれて』*5が入ってるのは、イソラへの伏線!?(笑)


翻訳は4本。
・「最後の粉挽き職人の物語」…… イアン・R・マクラウド
 風と魔法で風車を回す粉挽き職人のウェストオーヴァー家。
 ネイサンは働き者で評判だったが、ある日、幼馴染みのフィオーナから蒸気機関を使った新しい製粉事業を一緒にやらないかと持ちかけられる。
 それを断るが、時代は変革していて、次々と職人たちは仕事を失っていった……
 エーテルエネルギーの存在する改変歴史シリーズの1篇。
 落ち着いて、寂しげな筆致がマクラウドらしい。
 どうあがいても古い魔法が廃れていくのは避けられないんだけど、ちゃんと魔法の場所はちゃんと残っていて、それがまた失われたものの寂しさを募らせる。


・「アボラ山の歌」…… シオドラ・ゴス
 コールリッジを研究するサブラは、ある日、コールリッジの作品に出てくるような宮殿に迷い込む
 そこで、コールリッジ本人のような青年と出会い……
 サブラの現実世界と幻想世界、髭と引き換えに龍と結婚する娘の物語、三つが同時進行する。
 それは入れ子構造というか、どれが本体かはわからないけど、お互いを写し合っている万華鏡のよう。


・ 「図書館と七人の司書」…… エレン・クレイギス
 新しい図書館が作られ、忘れられた図書館内で暮らす七人の司書。
 静かに暮らしていたが、ある日、籠に入れられた赤ん坊が捨てられていることに気づく。
 ディンシーと名付け、図書館の中で育てていくことにする。
 個人的には、「ファンタジーらしいファンタジー」としてはこれが一番好き。
 まぁ、図書館が舞台ということもあるんだけど(笑)
 ただ、本当に図書館が魔法的存在になっちゃってる描写は、ちょっと残念か。


・「王国への旅」…… M・リッカート
 常連のアレックスは、コーヒーショップの壁にある連作絵画の解説を書いたファイルがあることに気づく。
 そこに書かれているのは、幽霊を導く灯台守と娘の物語だった。
 その娘が絵の作者らしいのだが……
 リッカートは以前掲載された2作がはまらず、3度目の正直。
 これはなかなか良かったですよ。
 作中作のファンタジー、そして、現実が崩れていくアレックスの生活、両方ともが素晴らしい。


堺三保アメリカン・ゴシップ」新連載
パラノーマル・ロマンスの話。
いちいち同感で、ジャンル者は、これから注目していくべきだと思うんだよねぇ。
ただ、ロマンス成分が強いのが……


「大森望の新SF観光局」は、お休み。


「デッド・フューチャーReMix」は、パーネル先生、悪者っぽいなぁ(笑)


「SF挿絵画家の系譜」は、勝呂忠。
ボケミスの絵について求められた時の意見がいい。
ラノベもいずれ!?(笑)


「サはサイエンスのサ」は、インフルエンザつづき。
予防原則のありかた。


「サイバーカルチャートレンド」は、ペーパレス。


「センス・オブ・リアリティ」は、
金子隆一は、太陽が巨星化しても地球は飲み込まれないかと思いきや……
香山リカは、一昔前なら病院に来なかったかもしれない最近の患者。


「MAGAZINE REVIEW」は〈インターゾーン〉誌
"Johny and Emmie-Lou Get Married"キム・レイキン=スミス
"Unexpexted Outcomes"ティム・プラット
"Lady of the White Spired City"サラ・L・エドワーズ
が面白そうだった。


来月は創刊50周年特大号! 超楽しみ!