A FRACTION OF THE WHOLE

ぼくを創るすべての要素のほんの一部

ぼくを創るすべての要素のほんの一部

『ぼくを創るすべての要素のほんの一部』スティーヴ・トルツ〈ランダムハウス講談社

ジャスパーの父、マーティン・ディーンはオーストラリア一の嫌われ者。叔父のテリーは、偶像化した犯罪者。そんな彼が記す、父の人生と己の半生。

やっと読了。
長いのもあるんだけど、なかなか乗れず、200ページ辺りから調子がついてきた。
書き手はジャスパーだけど、その内容はほとんどが父の物語。彼のガッカリとウンザリの人生。人気者の弟に比べ、自分も何か大きなことをしてやろうとするが、その全てが劇的なまでに悪い方向へと進んでしまう。
一方の息子もそのガッカリDNAを受け継ぎ、親子揃ってのダメな生活が延々と続く。荒唐無稽な計画も、リアルな行動も全てがダメにつながる、マジック・ダメリズム(笑)
しかし、ラストでジャスパーが気づく、まさに「ぼくを創るすべての要素のほんの一部」はなかなか感動的。そして、他の要素はこれからの人生によって作られていくはず。
正直言うと、無理して買わなくてもよかったかも。