サクリファイス

サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)

基本的に海外ものしか読まないし、最近読んでいた日本人作家はグロ系ばかり。
しかし、ロードレースものということなので着手。

アシストに徹し、自分が勝つことなど考えたこともない白石。しかし、ひょんなことから、ツール・ド・ジャポンでステージ優勝し、にわかに注目を浴びる。チームメイトはエースの石尾に気をつけろと言う。彼は以前、才能ある新人を事故に見せかけて、再起不能にしたというのだ。万事控えめな白石は優勝はまぐれだし、石尾のことも信じていると答えるものの、海外のチームも日本人選手を探してると聞き、移籍の夢も見るが……

主人公の白石は、アシストに誇りを持っていると言うよりも、エースとしてのプレッシャーや責任から逃げるためにアシストを勤めている。スポーツ選手らしい欲がなく、性格も控え目のため、読んでいる方がじれったくなってくるんだけど、それでも彼は自転車で走ることだけは愛し、海外スカウトの噂やエースの重責などを知ることによって、真のアシストとして成長していく。
白石がロードレースと出会ったきっかけが、夜中にTVをつけたらひまわり畑の中を疾走する自転車を目にしたこと。そう! そうなんだよ! ツールはスカパーでライブで見るようになっちゃったけど、フジの夜中の放送はよかったよな〜。
それはさておき。
サポートカーに掴まったところでニヤリとし、逃げ集団内の駆け引きにドキドキし、そしてラストの「アシスト」に涙する。真の大局のため、題名通りに、あそこまでアシスト出来ちゃうものなのかなぁ。不覚にも涙腺やられました。
伏線も張られているんだけど、ミステリかどうなんてことよりも、ちょっとでもロードレースに興味があるのなら、是非オススメ。いろいろ脳内補完されます。
死ぬまでに、グラン・ツールで日本人が活躍するのが見たいよな〜。


[rakuten:book:11266401:title]』『[rakuten:book:11886599:title]』と最近の新潮社は自転車づいてるね。