ZigZag
- 作者: ホセ・カルロス・ソモザ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『イデアの洞窟』のソモサの最新作
科学者がむごたらしい死体となって見つかる。それは、美貌の物理学教授エリサ・ロブレドのかつての同僚だった。十年前、崇拝するブラネス教授らとともに参加した極秘プロジェクト「ジグザグ」。それは過去の映像を撮影するという実験だった。彼らは、ジュラ紀と紀元33年のエルサレムの撮影に成功。しかし、事故によりプロジェクトは閉鎖され、元の生活に戻るが、それ以来、エリサは闇のような存在に恐怖と快楽で苛まされ続けていた。そして、同僚の惨殺が始まる。エリサは仲間たちと再会し、研究の出資者のイーグル・グループを出し抜き、助かる方法を見つけ出せるのか? そして、犯人の正体は?
『イデアの洞窟』も変だったけど、これもかなり変。
ジャンル分けが難しいけど、量子論SFだとすると、けっこう変わり種。感触は量子論風『遊星からの物体X』。あと、『リング』にもちょっと似てるかな。
相変わらず、量子ものは理屈がよくわからないんだけど、猟奇サスペンスとしてリーダビリティはすこぶる良好(ドキドキ感はないけど)。犯人のミスリードも伏線も張られています。ラストも、最近のエンタメ系にはあまりない感じでいいんじゃないでしょうか。
エリサたちを襲う闇や悪夢、人知を越えた惨殺の表現は、なかなかよろしい。ひもの中の世界はもっと見たかったなぁ。でも、痛みを感じる時間はあるの?
ただ、全体的には現場だけを追っている感じで、もうちょい何か深みが欲しかったところ。ちょっと駆け足な感じがするんだよなぁ。善、量子論、集合無意識辺りの理論をもっと前面に押し出してくるのかと思ってた。イーグル・グループも巨大な権力を有している割には、全く存在感ないし。
面白かったけど、もう一味。
ところで、上巻280ページに激しい誤字が。「馬連て……」って「バレンテ……」のことだよな? 最初、《インパクト》による言語障害の描写なのかと思った。
エンターブレインの翻訳物は初めて買ったけど、あらすじは帯にしかついていないのかしら? あらすじコレクターとしては、なるべく新刊で買わないとまずいのかなぁ。あと、訳者のあとがき・解説がないのがちょっと残念。