LA CAVERNA DE LAS IDEAS

イデアの洞窟

イデアの洞窟

イデアの洞窟』ホセ・カルロス・ソモサ〈文藝春秋〉読了

古代ギリシアのアテナ。
若者が犬に食い殺されて見つかる。彼は有名な家の出で、アカデメイアでも将来を期待された優等生だった。
しかし、〈謎の解読者〉として有名なヘラクレス・ポントーはその死に不審を抱き、調査を始めるが、またもや死体が……
という古代ギリシアの物語『イデアの洞窟』を翻訳するわたし。
そこには、読者にイメージを喚起させる「直観隠喩」という表現技術が無数に散りばめられていた。
わたしは、徐々に物語のイメージにとらわれ、中の登場人物が自分に語りかけているようにさえ感じ始める。
そして、わたしは何者かに監禁され、翻訳を強いられる……

古代ギリシアの殺人事件『イデアの洞窟』がメインになっていて、
その注釈として、翻訳者としてのわたしの感想や身の回りに起きた出来事が書かれているというスタイル。
ぽろっとネタバレしちゃいそうなので、あんまり感想は書けません。
ちなみに、SFです(笑)


翻訳って言うのは、恐いね。
それが、本当に原典に忠実に訳されているのか、て言うのは原典を読まなくちゃ分からないし、
そもそも、自分で読んだとしても、もしかしたら自分の都合のいいように訳しているのでは? 
という不安が常について回る。
そんなことを改めて感じさせてくれる小説でした。
あとがきでも言及されてたけど、『紙葉の家』は読んだ方がよさそうだなぁ。
満員電車で読めないサイズなのが……