IL COLOMBRE E ALTRI RACCONTI

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)

『神を見た犬』ディーノ・ブッツァーティ光文社古典新訳文庫Aフ2-1〉読了
イタリアの幻想作家ブッツァーティの日本オリジナル短篇集。
ロダーリといい、ありがたい叢書です。

・「天地創造」La creazione
・「コロンブレ」Il colombre
・「アインシュタインとの約束」Appuntamento con Einstein
・「戦の歌」La canzone di Guerra
・「七階」Sette piani
・「聖人たち」I Santi
・「グランドホテルの廊下」Il corridoio del grande albergo
・「神を見た大」Il cane che ha visto Dio
・「風船」Il palloncino
・「護送大隊襲撃」L’assalto al grande convoglio
・「呪われた背広」La giacca stregata
・「一九八〇年の教訓」La lezione del 1980
・「秘密兵器」L’arma segreta
・「小さな暴君」Il bambino tiranno
・「天国からの脱落」Il crollo del santo
・「わずらわしい男」Il seccatore
・「病院というところ」Questioni ospedaliere
・「驕らぬ心」L’umilta
・「クリスマスの物語」Racconto di Natale
・「マジシャン」Il mago
・「戦艦《死》」Schlachtschiff Tod
・「この世の終わり」La fine del mondo

全体的に、キリスト教かかった作品が多くて、ちょっと趣味に合わなかったかなぁ。
ただ、神とか聖人がやたらと人間くさいのが面白かった。
個人的お気に入りは、
・「コロンブレ」
 見たものを何年も追い続けるという海の怪物コロンブレ。
 少年の頃、コロンブレを見た男は、内陸で仕事を見つけるが、
 深淵をのぞき込みたいという思いが捨てきれず、船乗りに。
 コロンブレから何年も逃げ続けるが、老人になり、ついに対峙することに。
・「七階」
 7階建ての病院に入院した男。
 そこは7階が一番軽く、下がっていく毎に重病人になっていくのだ。
 7階で優越感に浸っていた彼だが、ひょんなことから6階に移ることになり……
・「聖人たち」
 単なる農民だったのだが、よく考えると彼の周りには恩恵が満ちあふれていた、
 という死後の証言で聖人に列することになった男。
 しかし、彼のことは誰も知らず、家には願い事など全く届かない。
 周りが忙しいのに、自分は手持ち無沙汰で……
・「グランドホテルの廊下」
 ホテルの長い廊下。
 トイレに行こうとするが、他の客と鉢合わせしてしまい、気まずさを覚えながら入らずに通り過ぎる。
 しばらく隠れて、もう一度行くがまたもや……
・「小さな暴君」
 我が儘と癇癪の子供。
 親たちは、彼のことを持ち上げるため、ますます増長。
 そんなある日、彼のおもちゃを壊してしまい……


この中では、「七階」が傑作。退院しろよ(笑)
「グランドホテルの廊下」も、なんか変でよかったなぁ。
あと、ド・ゴールに何か含むところがあるの?