THE START OF THE END OF IT ALL

『すべての終わりの始まり』キャロル・エムシュウィラー国書刊行会 短篇小説の快楽〉読了
エムシュウィラー、日本初の短編集。

 収録作品
・「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」I Live with You and You Don't Know It
・「すべての終わりの始まり」The Start of the End of It All
・「見下ろせば」Looking Down
・「おばあちゃん」Grandma
・「育ての母」Foster Mother
・「ウォーターマスター」Water Master
・「ボーイズ」Boys
・「男性倶楽部への報告」Repot to the Men's Club
・「待っている女」Woman Waiting
・「悪を見るなかれ、喜ぶなかれ」See No Evil, Feel No Joy
・「セックスおよび/またはモリソナ氏」Sex and / or Mr. Morrison
・「ユーコンYukon
・「石造りの円形図書館」The Circular Library of Stones
・「ジョーンズ夫人」Mrs. Jones
・「ジョゼフィーン」Josephine
・「いまいましい」Abominable
・「母語の神秘」Secrets of the Native Tongue
・「偏見と自負」Prejudice and Pride
・「結局は」After All
・「ウィスコン・スピーチ」WisCon Speech

個人的お気に入りは、
・「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」
 誰にも存在を気づかれない女。
 自分と似た雰囲気の女を見つけ、その家に入り込む。
 見知らぬ男に誘う手紙を書き、彼女の生活を奪おうとするが……
・「おばあちゃん」
 元スーパーヒーローだったおばあちゃん。
 彼女と暮らす孫の物語。
・「育ての母」
 エイリアン(?)を育てる女。
 育てて、軍(?)に渡さなければならないのだが、
 彼女は我が子のように愛し、逃げようとする。
・「ボーイズ」
 敵と戦う男達。
 女とは離れて暮らし、交尾や男児をさらうときにだけ女の集落を襲う。
 いつものように向かうが……
・「石造りの円形図書館」
 誰も知らない古代文明の図書館跡だと信じて発掘を続ける老女。
 次々に証拠(だと思っている)が見つかるが……
・「ジョーンズ夫人」
 仲の悪い初老の姉妹。
 ある日、妹は、外で羽の生えた奇妙な生き物のオスを見つける。
 彼女はその羽を切り、夫にしようとする。


収録された作品は、性差、年齢差による断絶、誤解を目に見える形にした作品が多い。
特に、女性から見た男性性(大げさ、何か誤解したような)を描いていて、どうも読んでいて居心地悪い。
相手や状況が異常でも、まるで気にせず(それがなんなのかという読者の疑問は置いてけぼり)、要するに問題はそこ、もしくはその性差が問題だから相手や状況が異質になり、決して理解しあえないエイリアンと化す。
女性の感想も聞いてみたい短編集でした。