不思議の森のアリス

不思議の森のアリス (ダーク・ファンタジー・コレクション2)

不思議の森のアリス (ダーク・ファンタジー・コレクション2)

前触れなく発売されたDark Fantasy Collection。
21世紀になって、ソノラマ文庫海外シリーズの続きが出るとは思ってませんでした。
論創社は凄い勢いで出して行くから、面白いなぁ。
『不思議の森のアリス』リチャード・マシスン論創社Dark Fantasy Collection 2〉読了
 収録作品
・「男と女から生まれて」Born of Man and Woman
・「血の末裔」Blood Son(Drink My Blood)
・「こおろぎ」Crickets
・「生命体」Being
・「機械仕掛けの神」Deus Ex Machina
・「濡れた藁」Wet Straw
・「二万フィートの悪夢」Nightmare at 20,000 Feet
・「服は人を作る」Clothes Make a Man
・「生存テスト」The Test
・「狙われた獲物」Prey
・「奇妙な子供」The Curious Child
・「賑やかな葬儀」The Funeral
・「一杯の水」A Drink of Water
・「生き残りの手本」Pattern for Survival
・「不思議の森のアリス」The Disinheritors
・「不法侵入」Trespass
こちらも古い作品ばかりなんですけど、個人的には『嘲笑う男』より遥かに楽しめました。
全体的に『トワイライトゾーン』とか『世にも奇妙な物語』にありそうな話ばかり、
と思ったら、「二万フィートの悪夢」ってマシスンだったんだっけ。


個人的お気に入りは、
・「男と女から生まれて」
 地下室に閉じ込められている子供。
 彼は……
 食事しながら読んでたら、日野日出志の漫画が思い浮かんで気分悪くなる(笑)
 トラウママンガなもんで。
・「機械仕掛けの神」
 ある朝、髭を剃っていた男。
 誤って喉を切ってしまうが、そこに見えたのは……
・「生存テスト」
 老人はテストを受け、それに合格しないと殺されてしまう社会。
 父は80歳で、3回目のテストだが、落ちてしまいそう。
 もうこれ以上面倒は見たくないと思っていたのだが……
 この短篇集ではこれが一番の傑作かな。
 非常に色々と考えさせられます。
 ラストは人間のプライドが見え、胸に迫ります。
・「狙われた獲物」
 民俗学好きの恋人のために買った人形。
 しかし、それは鎖で封印されていた殺し屋人形で、
 彼女と人形の生死を賭けた戦いが始まる!
 今となってはよくあるネタなんだけど、ラストが一味違う。
・「奇妙な子供」
 会社から帰宅する男。
 しかし、自動車をどこに停めたかわからなくなってしまう。
 さらには住所も。
 そして名前が……
 どうなるんだろう? こういうオチか? と考えていて、肩すかし喰らいました(笑)
・「一杯の水」
 映画館でお菓子を食べ過ぎて喉が渇いた男。
 しかし、そんな日に限ってアパートの水道は夜間工事。
 パブに向かうが、何故かどこも閉まっている。
 そうしているうちに渇きはますますひどくなり……
 オチはコメディタッチなんだけど、パラノイア感がいやな作品。
・「生き残りの手本」
 とある作家。
 彼の作品は、読者や編集者はもちろん、それを届ける郵便配達員にさえ歓迎されていた。
 今日も彼は作品を書き上げる……
 これもなかなかいいなぁ。
 あらすじのような話じゃないんだよね。


ほとんど、昔のS-Fマガジンとかミステリマガジンで読める作品なんだけど、
引っ張り出すのめんどいし、こうしてまとめて出してくれるのは歓迎します。