PARADISE MOTEL

パラダイス・モーテル (海外文学セレクション)

パラダイス・モーテル (海外文学セレクション)

今年、その存在を知らず、最も自らを恥じた作品が『隠し部屋を査察して (創元推理文庫)』。かなり直球にツボで、本当に強烈な短編集でした。
そのエリック・マコーマックの、今のところ唯一の邦訳長篇。
文庫に落ちるような気もするけど、我慢できずにネットで購入。


『パラダイス・モーテル』エリック・マコーマック〈東京創元社〉読了

子供のころ、祖父から聞いた話。
彼がパタゴニアへ航海したとき、同僚から聞いた話。
ある医師が妻を殺し、その手足を、四人の子供の腹の中に隠したと言うのだ。
今では祖父の作り話だと思っているが、面白半分に、調べ物が好きな友人に、その事件や四人が今ではどうなっているのか調査してもらう。
一方、私は取材に向かった先で思いがけない名前を聞くことになる……

ピンと来ると思うけど、「パタゴニアの悲しい物語」の長篇化した作品。
私が祖父から聞いた四人のその後を人から聞いた話、で長篇と言うよりオムニバスかな。
奇妙な四人の語り手が語る、四兄妹の奇妙な死。
そのそれぞれに『隠し部屋を査察して』に出てきた短篇がちょっとずつエピソードとして使われている。
そんなわけで、『隠し部屋を査察して』を読んだ後だと、ちょっとインパクトは薄いかも。


それでも、Aさんが語るBさんが語るCさんの話、という信用度がどんどん薄れていく構成と、
やはり、切除、切開をテーマにしたグロテスクなエピソードの数々はかなり好み。
結構気分悪くなります(笑)
「ってゆうか」という拍子抜けするようなラストも、またいい。
これ、合わない人は徹底的にダメだろうなぁ。


"The Mysterium"は出ないの〜?