どこにもない国

どこにもない国―現代アメリカ幻想小説集

どこにもない国―現代アメリカ幻想小説集

『どこにもない国 現代アメリ幻想小説集』柴田元幸・編〈松柏社〉読了
ここ十数年のアメリカ作品を中心にした、幻想小説アンソロジー

 収録作品
・『地下道の査察』……エリック・マコーマック
・『“Do You Love Me?”』……ピーター・ケアリー
・『どこ行くの、どこ行ってたの?』……ジョイス・キャロル・オーツ
・『失われた物語たちの墓』……ウィリアム・T・ヴォルマン
・『見えないショッピング・モール』……ケン・カルファス
・『魔法』……レベッカ・ブラウン
・『雪人間』……ステイーヴン・ミルハウザー
・『下層士』……ニコルソン・ベイカー
・『ザ・ホルトラク』……ケリー・リンク

この系統の作品を読んでいつも思うけど、なんか感想が書きづらいんだよねぇ。
決してつまらないわけじゃないんだけど、もやもや〜と終わってしまう感じの作品が多い。


そんな中でお気に入りは、
・『“Do You Love Me?”』
 ある日、建物や人が消失し始める。
 それは消えてしまうものを愛してないかららしい。
 そして、父が……
 ひどく不安な気分になる作品。
・『見えないショッピング・モール』
 マルコ・ポーロが語る、幻想的なショッピングモールの数々。
 カルヴィーノのパロディ。
 読んでて、かなり楽しかったです。
・『雪人間』
 大雪で街が真っ白になった朝。
 そこには、精緻な雪人間が現れる。
 僕らもつくるが、それらはますますリアルになり、
 動物や木、さらには雪で作られた住居まで作られる始末。
 冒頭のワクワクする感じ、終盤に向かう狂気と寂しさ。
 恥ずかしながらミルハウザーは読んだことなかったんですが、
 今さらながらいいですねぇ。他のも読んでみようかな。
・『下層士』
 トラクターを調べている農機具史家。
 泊まった部屋に、不気味なポテトヘッドを見つける。
 その夜……
 う〜ん。なんだこりゃ? ギャグ?
・『ザ・ホルトラク
 これはSFマガジンで読んだんだけど、
 ケリー・リンクは再読した方がより味わえます。
 まぁ、でも、さっぱりわけ分かんないんだけどな(笑)
 なんか、『ツインピークス』の「人間界はコンビニエンスストア」を思い出してしまった。
 途中に出てくるゾンビの大砲うんぬんはリンクの「キャノン」のこと? 違うか。


マコーマックは、この前出たばかり、読んだばかりでタイミング悪いよ。
他のアンソロジーや短篇集に収録されている作品も多い。
とはいえ、絶版になってたり、雑誌掲載のみだったりするので、
この手の作品が好きな人は、持っててもいいかも。