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地球の静止する日―SF映画原作傑作選 (創元SF文庫)

地球の静止する日―SF映画原作傑作選 (創元SF文庫)

地球が静止する日中村融・編(創元SF文庫)読了
SF映画の原作短編を集めたアンソロジー


収録作品
『趣味の問題』……レイ・ブラッドベリ
 「イット・ケイム・フロム・アウタースペース」原作
 ある惑星に着陸したロケット。
 その惑星の住人は非常に友好的な種族なのだが……
 ブラッドベリらしい、優しくも、非常につらいラストの短編。
『ロト』……ウォード・ムーア
 「性本能と原爆戦」原作
 深刻な攻撃を受けたアメリカ。
 都市から人々が逃げ出し、ハイウェイは車であふれる。
 男は食料や生活用品を集め、家族とともに田舎のほうへ逃げる。
 しかし、緊急事態なのに常識や世間体ばかり気にする妻や、息子は文句を言うばかり……
 題名からなんとなく想像できるけど、なんともいやなラスト。
 それより、内容は覚えてないけど、その題名だけは覚えてる「性本能と原爆戦」に原作なんてあったのね。
 実際、クレジットに関して作者と製作者で悶着もあったとか。
『殺人ブルドーザー』……シオドア・スタージョン
 「殺人ブルドーザー」原作
 滑走路作るためにやってきた工事チーム。
 しかし、奇妙な岩を動かした途端、何かがブルドーザーに取り付き、
 人間に襲い始めた!
 題名以上でも以下でもない中篇。
 これ、本当に幻の傑作だったの?
 ただ、いかにも色物な題名で、未訳だったから気になってただけじゃなく?
 こういう話嫌いじゃないんだけど、小説だとあまり面白くないかも。
 まぁ、映像化した作品もイマイチらしいけど。
 スタージョンはブルドーザーの運転もしてたらしく、描写が細かい。
『擬態』……ドナルド・A・ウォルハイム
 「ミミック」原作
 いつも黒い服を着ている無口な男。
 その正体は?
 非常に薄気味悪いラスト。
 かなり生理的嫌悪感でぞわぞをする。
 それにしても、こんな大昔の作品が「ミミック」の原作だったとは。
『主人への告別』……ハリイ・ベイツ
 「地球が静止する日」原作
 地球にやってきた神の如きクラートゥとロボットのヌート。
 しかし、何もせずまま狂信者によって、殺されてしまう。
 それ以来ロボットは停止し、宇宙船構造も不明のまま、
 周りの博物館を建て、研究を続けていた。
 ある日、カメラマンは停止しはずのヌートが動いていること気づく。
 夜間、忍び込んで撮影しようとするが……
 こんな話だったっけ?
 と思ったら、企画が先にあって、それにあった原作を探したそうだ。
月世界旅行』……ロバート・A・ハインライン
 「月世界旅行」原作
 民間で初の月ロケットを作る。
 しかし、打ち上げ直前になって政府から圧力がかかる。
 彼らは打ち上げを強行するが、問題が次々と!
 50年以上前の作品で、時代は感じるけど、
 SFスピリットはなかなかたまりません。
 「目的地は月」っていう台詞はいいなぁ。
『「月世界旅行」撮影始末記』……ロバート・A・ハインライン
 メイキングシーンのエッセイ。
 おそらく、今現在もほとんど状況は変わってないと思う。
 かなり面白い。


みんな面白かったけど、個人的には『擬態』が一番かなぁ。
『主人への告別』もよかった。


海外にはこういうSF映画アンソロジーが結構あるそうだ。
ところで、『エイン博士の最後の飛行』ってむ『12モンキーズ』の原作?
ずっと気になってんだけど。