ロシア・ファンタスチカ(SF)の旅
ロシア・ファンタスチカ(SF)の旅 (ユーラシア・ブックレット)
- 作者: 宮風耕治,ユーラシア研究所ブックレット編集委員会
- 出版社/メーカー: 東洋書店
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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今回初めて知ったんだけど、ロシア文化などの概説をしたブックレットシリーズ。
ロシアSFなんて全く知らないんで、いろいろとためになりました。
ロシアの小説というと硬いイメージ(ベタな先入観……)しかなかったんだけど、
SFはかなり大きなジャンルだそうだ。
ロシアではSFのことをナウーチナヤ・ファンタスチカと言うんだけど、
最近では、単にファンタスチカと呼ぶことが一般的だそうだ。
広義のSFもここの言葉に含められるのかな?
ロシアSFは1920年代に第一の波が来るものの、スターリン時代に低迷してしまう。
5カ年計画がSF低迷に影響しているのが興味深かった。
戦後、スターリン批判、スプートニクの打ち上げなどで、SFの波が来るが、
文化統制は再びきつくなり、自由には書けなくなってしまう。
そこで台頭するのがストルガツキー兄弟。
70年代に入っても、文化官僚に統制は続き、出版できない。
その間、ストルガツキー兄弟によるセミナーが開かれ、次の時代の作家たちが育ち始める。
90年代、ソ連が崩壊し、統制もなくなったと同時に、出版システムもなくなってしまい、
出版が極めて困難な状況になってしまう。
しかし、ファンたちが出版社を作り――
という歴史概説がかなり楽しめた。
他にはストルガツキーや現代の作家で章を使っている。
翻訳された本のリストはリスターとしては嬉しいんだけど、
本になってない短篇のリストも欲しいところだなぁ。
昔のS-Fマガジンなんか、結構掲載されてるし。
ロシアSFに詳しい人から見たら薄いかもしれないけど、
全然知らない人には概説本としていいんじゃないでしょうか。