UNE GOURMANDISE

至福の味

至福の味

『至福の味』ミュリエル・バルベリ(早川書房)読了

著名な料理評論家。
しかし、彼の命は尽きようとしていた。
ベッドの中で、彼が思い浮かべる、最期の晩餐は?

料理評論家の回想と、彼を取り巻く人々の独白を交互に章立てした構成。
彼が自分で思っている以上に嫌悪されていながら、
でも、それ以上に彼の才能は人を魅了する。


料理評論家が今まで食べてきた中で、最高の味はなんだったのか? というと、
アフター0』読者なら、何か頭に思い浮かぶものがあるはず。
実際、オチは「あれ」か? と思ったんだけど……
最期の晩餐にふさわしい、記憶の食べ物としての理由が、イマイチ、パンチが弱いかな。
この手の話なら、『アフター0』収録の「なぜ、久留米氏は」と「最高の晩餐」の方が格段に面白いなぁ。


2000年度優秀料理小説賞受賞作。って、そんな賞があるのね。
いろんな食べ物が出て来るんだけど、いちいち、美味しそうに表現しているんだけど、
個人的には、溶けて、染み込んだバタートーストが一番うまそうでした。