KISS KISS

キス・キス (異色作家短編集)

キス・キス (異色作家短編集)

『キス・キス』ロアルド・ダール早川書房 異色作家短編集〉読了


恥ずかしながら、ダールを読むのはほとんど初めて(ジャイアント・ピーチ―ダールのおばけ桃の冒険 (児童図書館・絵本の部屋)くらい)
せっかく異色作家短編集が新刊としてスタートしたので着手。
いや、面白いね。
落語みたい。ブラックだけど……

収録作品
・『女主人』 The Landlady
・『ウイリアムとメアリイ』 William and Mary
・『天国への登り道』 The Way Up to Heaven
・『牧師のたのしみ』 Parson's Pleasure
・『ビクスビイ夫人と大佐のコート』 Mrs. Bixby and the Colonel's Coat
・『ローヤル・ジェリイ』 Royal Jelly
・『ジョージイ・ボーギイ』 Georgy Porgy
・『誕生と破局―真実の物語』 Genesis and Catastrophe A True Story
・『暴君エドワード』 Edward the Conqueror
・『豚』 Pig
・『ほしぶどう作戦』 The Champion of the World

お気に入りは、
・『女主人』
 実業家になる夢を持って町にやってきた青年。
 宿を探す途中、雰囲気のいい下宿屋を見つける。
 そこの女夫人は、いい人なのだが、何かおかしい。
 それでも、安い値段に惹かれ、部屋を取ることにするのだが……
・『ウイリアムとメアリイ』
 厳格だった夫のウィリアムが亡くなり、その遺書を読むメアリイ。
 感謝の言葉と思いきや、生前通り、テレビもタバコもダメ、未亡人でいろという内容。
 しかも、彼は、友人の学者の手で脳だけ取り出され、
 水槽の中で生きているという。
 メアリイは彼に会いに行く。
・『天国への登り道』
 いつも予定より早めに時間をとらないと落ち着かない夫人。
 その夫は、わざとやっているかのように、いつもギリギリ。
 ある日、フランスに嫁いだ娘と孫に会うため、一人で行くことに。
 夫は送っていこうと言うが、いつものように、時間ギリギリ。
 しかも、途中でおみやげを思い出したと言って引き返す始末。 
 しかし、なかなか戻ってこない。
 夫人が急かしに行くと……
・『牧師のたのしみ』
 田舎の農家を巡って、お宝を安く買いたたくアンティーク屋。
 相手の警戒心を解くために、いつも牧師に化けている。
 いつものように農家を尋ねると、頑固そうな男たちがいる。
 何もめぼしいものないと思いきや、チッペンデールの幻の家具が!
 発見者の名を歴史に残すような逸品だ。
 何とかそれを手に入れようとするが……
・『ビクスビイ夫人と大佐のコート』
 退屈な歯科医の夫を、叔母の家に行くと言って騙し、大佐と不倫をするビクスビイ夫人。
 突然、大佐はお別れだと言って、最後に、見事なミンクのコートをプレゼントした。
 プレゼントには狂喜するものの、金持ちでもない叔母がくれるはずもなく、
 これを普通に夫の元に持って帰るわけにはいかない。
 そこで、質屋を利用して、改めて自分のものにしたように見せる方法を思いつくが……


基本的に、ラストの一行で、くすりというか、ぎくりとする作品ばかり。
特に、俺も時間より早めに出る方なので、『天国への登り道』はかなりハラハラして読んだ。
だから、いつも早く起きろって言ってるのにさぁ!(笑)


あとは、『豚』はなに? なんとも言いがたい話。
内容はつまらなかったけど、『ほしぶどう作戦』は一番題名が好き。


表題作はないのね。夫婦のネタにした話が多いから、この書名?