タイム・トラベラー

以前、友人と飲んだ時、
カッコイイSFの題名を言い合う、という興味がない人には本当にどうでもいいことを、延々としたんですけどね、
それとは別口で、個人的にベストと言ってもいいくらい好きなSFの題名が、
『ここがウィネトカならきみはジュディ』
このさっぱり意味は分からないけど、何かを期待させ、なんとも小気味のいいタイトル。
とか言いつつ、実は読んだことない……


というわけで、

タイム・トラベラー―時間SFコレクション (新潮文庫)

タイム・トラベラー―時間SFコレクション (新潮文庫)

タイム・トラベラー伊藤典夫浅倉久志・編〈新潮文庫〉読了
時間SFの日本オリジナルアンソロジー


 収録作品
・『しばし天の祝福より遠ざかり』……ソムトウ・スチャリトクル
・『時間層の中の針』……ロバート・シルヴァーバーグ
・『遥かなる賭け』……チャールズ・シェフィールド
・『ミラーグラスのモーツァルト』……B・スターリング&L・シャイナー
・『ここがウィネトカならきみはジュディ』……F・M・バズビイ
・『若くならない男』……フリッツ・ライバー
・『カッサンドラ』……C・J・チェリイ
・『時間の罠』……チャールズ・L・ハーネス
・『アイ・シー・ユー』……デーモン・ナイト
・『逆行する時間』……デイヴィッド・レイク
・『太鼓の殻にくるまれて』……R・A・ラファティ
・『わが内なる廃墟の断章』……フィリップ・ホセ・ファーマー
・『バビロンの記憶』……イアン・ワトスン


お気に入りは、
・『しばし天の祝福より遠ざかり』
・『時間層の中の針』
・『ここがウィネトカならきみはジュディ』
・『若くならない男』
・『わが内なる廃墟の断章』
あたり。


『ここがウィネトカならきみはジュディ』はやはり面白かった。
『リプレイ』ではなく『スキップ』って言う感じかな。
あるとき20代だったと思えば、目が覚めると小学生だったり、臨終間際だったり、と
人生の時間を飛び飛びに生きている男の物語。
一本のテープをスキップさせているようなものだから、
過去に戻ったからといって別に現在を変えられるわけでもない。そういう人生なのだ。


『しばし天の祝福より遠ざかり』
ある日、突然、同じ一日を何度もループすることになってしまった。
それは異星人の子供たちが見学をするためだという。
しかも、同じ日は700万年も繰り返すのだ!


『時間層の中の針』は時間旅行が当たり前になった世界。
そのたびに、現在が微妙に変化する。
主人公の妻の元夫が、彼女を取り戻そうと、
何度も過去に戻り、現在を変えようとするが……
バタフライ・エフェクト』と感触が似てるかな。


『若くならない男』
あらゆるものの時間が逆行しはじめる。大人から子供へと。
ただ、主人公だけは何も変わらない……
読後の余韻は、これが一番。


『わが内なる廃墟の断章』
ある日、地球上のすべての人間の記憶が過去4日分なくなる。
それは毎日起こり、人々の記憶だけがどんどん若くなっていく。
どうやら、地球に近づいた異星からの物体の仕業らしい。
それを破壊する計画が立てられるが、完成するのは6年後。
その間にも、人々の記憶は消えていき……