TUF VOYAGING

タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF

タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF

『タフの方舟(1)禍つ星』ジョージ・R・R・マーティン〈ハヤカワSF〉
生物兵器を商いにするハヴィランド・タフの連作シリーズの第1巻。


収録作品は3作
・『禍つ星』
 あらゆる疫病を降らせる禍つ星。
 その正体は、遥か昔に滅んだ文明の巨大な生物兵器培養船だった。
 それを手に入れれば、莫大な冨と権力を手にすることができる。
 学者や殺し屋のチームが運び屋に選んだのは、タフというぱっとしない商人だった。
・『パンと魚』
 シリーズ内シリーズの第1話。
 方舟を手に入れたタフは、修理と改造のため、ス=ウスラムに立ち寄った。
 その星は人口が非常に多く、近い将来、食糧危機になるのは明白。
 政府は方舟号を取り上げようとするが、
 信義の人、ポートマスターのトリー・ミューンは何とかしようとするが……
・『守護者』
 海の惑星ナモールが、未知の怪物のため困っていることを聞いたタフは、助けようとやって来る。
 今まで見たこともない様々な怪物が現れ、どんどん住民が襲われているという。
 惑星側としては、早くそれらを倒す生物兵器をばらまいて欲しいのだが、
 タフは研究中と言って一向に動かない。
 その間にも、次々と島は全滅していき……


話も面白いんだけど、タフのキャラクターが強烈。
身長2メートル半の肥満体、白い肌に無毛という容姿。
そして、その物言いはまさに慇懃無礼。バカ丁寧な正論で人を苛立たせる。
このタフの性格が、裏があるのかないのか、わからないところが魅力。
善人に見えるのも、阿漕に見えるのも、第三者的にそう見えるだけで、
本人は自分の矜持に従ってるだけなんだろうね。
脳内ボイスは銀河万丈(笑)


3作の中では、『パンと魚』がお気に入り。
政治的駆け引きが行われている中、
その渦中にいるタフその人は、全く何を考えているのか不明なのが読み所。


5月に2巻が発売。