MAUS

マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

マウスII アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

マウスII アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

『マウス』&『マウス2』アート・スピーゲルマン(晶文社)読了
アウシュヴィッツを描いたオルタネイティヴ系のアメコミ。


漫画家のアーティが、アウシュヴィッツを生き残った父ヴラデックにインタビューすると言う形で描かれている。
現在の父のかかわりと当時のユダヤ人迫害の話が平衡して描かれていく。
知恵と努力と運でアウシュヴィッツを夫婦ともども生き残ったヴラデック。
しかし、決して彼は聖人君子でも英雄でもなく、今ではけちで口うるさい男。
また母は何も言い残さず数年前に自殺。
自分もまた精神科に通っている。
スピーゲルマン家の記録にもなっていて、その辺がとてもリアルに感じられ、
また、決してアウシュヴィッツが別世界ではなく、ここと地続きの世界での話しだということを気づかせてくれる。


ユダヤ人はネズミ、ナチはネコ、ポーランド人は豚として擬人化され、
絵も木版画のようで決してうまくはない。
それでも、心打つものがある。
特にラスト。
ヴラデックの人生はすべてアウシュヴィッツとともに燃え尽きてしまったのだろうか?
オススメ。