ALTERED CARBON

オルタード・カーボン

オルタード・カーボン

『オルタード・カーボン』リチャード・モーガン(アスペクト)読了


27世紀。
人間の精神はすべてデジタル化されている。
そのため、精神の転送やコピーは容易で、肉体も自由自在にまとうことが可能だ。
権力者はそれによって不老不死を保ち、犯罪者は肉体を奪われ保管刑となる。
元特殊部隊員のタケシ・コヴァッチは犯罪常習者。
保管刑になっていたところを地球の大富豪バンクロフトに呼び出される。
彼の以前の体は家の中で頭を吹き飛ばされた姿で発見されていた。
警察は自殺と断定したが、バンクロフトは自分が自殺するはずがないし、
そもそも、精神のバックアップが取ってあるのだから、意味がないと言う。
それを知らないものによって殺されたに違いないと考えていた。
そこでコヴァッチに真相を調べてほしいと依頼してきたのだ。
しかし、彼の前には女刑事、殺し屋、今まとっている体に恨みを持つらしい連中、バンクロフトの妻、昔の上官が次々と現れる。
はたして、バンクロフトの死の真相は?


未来の設定がみっしり書き込まれていて、設定好きにはたまらない。
精神がデジタル化されるのが当たり前の世界で、どのようなことが起きるのか、
と言うのが色々と出てきて、そのアイデアに満足。


この主人公、コヴァッチがカッコイイ。
決して善人ではないけれど、信念と真実のためには決して負けることなく、
敵に立ち向かっていく。
昔ながらのタフな探偵キャラなんだけど、その身につけているものは体も含めてすべてハイテク。
この体を自由に取り替えることができるのがポイントで、
ロマンスや別れが、再び同じ姿で出会うこともないため、今までのハードボイルドにはありえない情感がある。


作者のリチャード・モーガンはこれが処女作。
元大学講師で、日本人留学生にも教えていたことがあるそうで、
やたらと日本文化なものが出てくる。鬼子母神とか。


個人的にはオススメなんだけど、
上下間セット売りってのが、ちょっとね。