FAT WHITE VAMPIRE BLUES

ニューオリンズの白デブ吸血鬼

ニューオリンズの白デブ吸血鬼

  • 作者: アンドルー・ジェイフォックス,Andrew Jay Fox,大谷真弓
  • 出版社/メーカー: アンドリュース・プレス
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 単行本
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ニューオリンズの白デブ吸血鬼』アンドリュー・フォックス〈アンドリュープレス〉読了


ジュールズ・ディジョンは、生まれも育ちもニューオリンズの白人ヴァンパイア。
ルドルフ・ヴァレンチノもかくやという美男子……だったのは、もう何十年も前のこと。
今では、世界一の高カロリーを誇るニューオリンズ市民の血液を飲み続けてきたせいで、
関節痛と糖尿病に悩まされる体重210キロの超肥満体。
それでも、タクシーを流しながら、ホームレスの血を吸う、気ままな生活をしていたが、
そんなある日、マリスXと名乗る黒人吸血鬼が現れ、ジュールズを街から追い出そうとする。
相手は黒人吸血鬼軍団。
ジュールズは数十年ぶりに自分の闇の"親"であるモーリーンと、
"子"のドゥードゥルバグに再会するが……


衝動買いして、『文学刑事サーズデイ・ネクスト』ぶりの久々の当たり。


主人公ジュールズは、バカでデブでオタク。
根拠のない自信とプライドだけは高く、まるで実行を伴わない。
ダイエットは明日から。
レコードとパルプ雑誌とアメコミのコレクターで、
火事になったら母親の写真よりもそっちを取りに行っちゃう……
って俺!?


イタイというか、痛々しい物語。
非常に限定された人にしかわからないたとえだけど、
ワイルドカード』のタートルと『ラブやん』のカズフサを足したような主人公。
アメコミの中でも、『キャプテン・アメリカ』が大好きで、
二次大戦中は、お国のために、自らも恐怖ずきんというヴィジランテになって、
国内の破壊活動家をやっつけていた(自称)。
ひいてはアメリカが勝ったのも自分たちのお陰、ということらしい。
そういえば、『俺はレッド・ダイアモンド』もパルプコレクターのタクシー運転手だったけど、
なんか、そう言うステロタイプがあるのかな?


仲間のモーリーンとドゥードゥルバグも魅力的。
マリスXがなんでジュールズを追い出そうとしたのか、
その真意がイマイチはっきりしないんだけど、それでも十分に楽しめた。


ヴァンパイアのシステムが科学的に解説されると思ったら、
エフィンジャーのワークショップの出だとか。
それにしても、『ニューオリンズの白デブ吸血鬼』ていう邦題はださいなぁ。
原題通り、『FAT WHITE VAMPIRE BLUES』でカッコイイと思うんだけど。
ニューオリンズっぽいし。


これ読んで改めて、
ハードSFよりは『天使墜落』を
本格ミステリよりは『暗黒太陽の浮気娘』を
ゴシックホラーよりは『ニューオリンズの白デブ吸血鬼』を
選んじゃう自分に気づきました。
要するにオタク臭がぷんぷんする、というか痛々しいオタクマゾ小説が好きなのね(笑)


そう言う人にオススメ。
真面目なヴァンパイア好きには否オススメ。