TALES OF THE QUINTANA ROO
すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた (ハヤカワ文庫 FT)
- 作者: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/11/09
- メディア: 文庫
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あれでおしまいだと思っていたプラチナファンタジーの新刊にして、
久々のティプトリーの新刊。
メキシコ、キンタナ・ロー州の浜辺に流れ着く、"私"が聞いた不思議な物語を描いた連作集。
・『リリオスの浜に流れついたもの』
波に漂う美女を助けた青年。
しかし、岸に上げるとそれは男。
彼は助けてくれたお礼にと、腹の皮膚に隠した巨大な宝石を手渡す。
もう一度見ると、やはり女のようにも……
・『水上スキーで永遠をめざした若者』
漁船の船長をしている老人。
彼が若いとき、その親友がジェットスキーで湾を渡ると言ってきた。
猛スピードでモーターボートを走らせ、
ゴールが見えてきたとき……
・『デッド・リーフの彼方』
食事で相席になった紳士。
彼が以前、スキューバ中に出会った恐怖とは……
全ての話が、結局なんだったかわからないまま終わるのが、かえって不気味。
題名のとおり、全ては幻なのか、それとも……
アジア的な熱帯とはまた違う、海の冷たさとジャングルの暑さが感じられるような作品。
最後の『デッド・リーフの彼方』がよかったかな。
気持ち悪いとかじゃなくて、なんともぞわぞわする、嫌な感じの作品。
海の中に漂う何か、ってのは生理的に怖気が走る。
解説にティプトリーの略歴が載ってんだけど、
改めて、この人の人生そのものがフィクションみたいだよなぁ。