NEVERWHERE

ネバーウェア

ネバーウェア

『ネバーウェア』ニール・ゲイマン〈インターブックス〉読了。


ロンドンの証券会社に勤め、
キャリアウーマンの彼女とも婚約が決まり、
順調な人生を送っていたリチャード。
彼女の上司とのディナーに行く途中、
突然壁の中から負傷した少女が現れ、人がいいリチャードは彼女を助けることに。
少女はドアと名乗り、下のロンドンから来たという。
傷も治り、ドアは姿を消すが、その日からリチャードの日常は一変する。
誰も彼のことが見えなくなり、存在しなくなってしまったのだ。
あてどなく歩くリチャード。しかし、ホームレスの男に導かれ、地下に潜ると、
そこには、失せものと忘れ去られたもので形作られた、闇と魔法のもう一つのロンドンが存在していたのだ!
ドアは下のロンドンの名家だったのだが、家族が殺され、その仇を撃とうとしていた。
犯人は誰なのか? 答えを知る天使は?
そして、リチャードは元の生活に戻れるのか?


基本的には、●●を倒すために仲間と○○を探しに行く、という成長と冒険の典型的なファンタジーなんだけど、
その舞台が都会の地下というのがたまらない。
そこでは、意味の失われた地名が現実として存在している。
東京の地下鉄でたとえると、半蔵門駅の下には、まだ服部半蔵がいる、みたいな。
馬とダンジョンの代わりに、地下鉄と下水道。
薄汚く、ごみごみとした市場の描写はかなり好み。
ストーリーよりも、その世界にはまれ、という感じかも。


キャラクターがまたよくて、
ドアの父親に昔借りがあるということで仲間になる、
皮肉っぽく、信用のおけないカラバス侯爵がお気に入り。
女性ボディガードとしてはモリィには及ばないまでも、
久々のかなりの萌えキャラ(笑)ハンターもイイ感じ。
地下鉄に所領を持った伯爵もステキ。


元々はテレビ用の台本として書かれていたらしく、
キャラクターや情景が想像しやすい。
これは映画化しても、けっこうはまるんじゃないかな。
ラストもそんな感じだし。


まー、一度ヲタクの道を歩んだ人間は、二度と堅気に戻れないってことかな(笑)
オススメ。


実は、あらすじ見た時、チャイナ・ミーヴィルの『キングラット』だと思って、
最近までスルーしてたというのは秘密。