読書感想短篇編。


今年ももう終わりなので、まず今日は今年1年の「SFマガジン」の海外短篇。

・『グラスアース・インク』……スティーヴン・バクスター
・『シルヴァー・ゴースト』……スティーヴン・バクスター
・『重力鉱庫の記憶』……スティーヴン・バクスター
・『月その六』……スティーヴン・バクスター
・『地獄とは神の不在なり』……テッド・チャン
・『ルイーズのゴースト』……ケリー・リンク
・『主任設計者』……アンディ・ダンカン
・『接近遭遇』……コニー・ウィリス
・『ひまわり』……キャスリン・アン・グーナン
・『ナノボクサー』……シェイン・タートロット
・『ドッグス』……アーサー・ブラッドフォード
・『十月が椅子に座る』……ニール・ゲイマン
・『私の友人はたいてい三分の二が水でできている』……ケリー・リンク
・『死んだ少年はあなたの窓辺に』……ブルース・ホランド・ロジャーズ
・『ブレイクスルー』……ポール・パーク
・『ロブスター』……チャールズ・ストロス
・『いまは眠りたいだけ』……パトリック・オリアリー
・『楽園では』……ブルース・スターリング
・『決断者』……グレッグ・イーガン
・『「太平洋沿岸の〈部族〉」第三巻(最終巻)よりの抜粋』……ニール・スティーヴンスン
・『そしてサロメは踊った』……ケリー・エスクリッジ
・『白蛇の呪い』……ストーム・コンスタンティン
・『ビーナスの目覚め』……キャロル・エムシュウィラー
・『日の沈む国で』……エウゲーニイ・ユーリエヴィッチ・ルキーン
・『クレ』……ナターシャ・ボリュー
・『暴風監視官』……マルクス・ハマーシュミット
・『アッシャ』……遥控
・『或る王朝の最期、もしくはフェレットの博物誌』……アンヘリカ・ゴロディッシャー
・『有機礁』……ポール・J・マコーリイ
・『ドラド・ワームホールで』……ジェフリー・A・ランディス
・『火星の長城』……アレステア・レナルズ
・『アウダゴストの正餐』……ブルース・スターリング
・『キャノン』……ケリー・リンク
・『ディスチャージ』……クリストファー・プリースト

SFの多様化、というよりどこからどこまでがSFなのか?
それとも、境界はすでになくなっているのか?
SFガジェットを使っていればそれはSFなのか否か?
まー、大昔から言われてきたことの蒸し返しだけど、けっこうバラエティに富んだ短篇が掲載されたような。
新たなSFの形を模索中かな。


個人的お気に入りは、
・『月その六』……スティーヴン・バクスター
・『地獄とは神の不在なり』……テッド・チャン
・『ブレイクスルー』……ポール・パーク
・『ロブスター』……チャールズ・ストロス
・『ドラド・ワームホールで』……ジェフリー・A・ランディス
・『キャノン』……ケリー・リンク


中でも特に『ロブスター』はかなりお気に入り。
進化したサイバーパンクでも、現代のサイバーパンクでもなく、サイバーパンクを滋養して生まれたSFかな。
今までのサイバーパンクが常識となった現在の延長線上にある世界、って感じ。
シリーズものらしいので、これは文庫で出たら買うな。


『月その六』はあり得たかもしれない、もう一つの宇宙開発シリーズ。
これもオムニバスみたいになってるらしいので出して欲しい。


『地獄とは神の不在なり』は強烈だった。
日本人としては、何とも居心地の悪い作品。
先日出た短編集にも入ってると思うので、一読オススメ。


『ブレイクスルー』はSFじゃないと思うんだけど印象的。


『ドラド・ワームホールで』は今思うとかなりオーソドックスなSF。
でも、けっこう好き。


今年はケリー・リンクをなんか推してたな。
正直、面白くない、というかなんかよくわかんないんだよね。
ただ、それが、SFのボーダレスではなく、SFの要素があらゆるジャンルフィクションに染み出して行っている現在の状況を如実に表わしてる作家なのかも。
来年短編集が出る予定。


特集としては6月の『スプロール・フィクション特集』と10月の『非英語圏作品特集』が面白かった。