今月のSFマガジンはファンタジー特集。


収録海外作品は
・『アウダゴストの正餐』……ブルース・スターリング
今では、名前のみが残っている、歴史から消えたアフリカの商業都市アウダゴストの物語。
4人の富裕層が食事と会話を楽しんでいる。
街に、ひどく醜い占い師が来ていると言う。
余興に彼を呼んで、未来を見てもらおうと言うことになるのだが……
スターリングの作品としては、そんなに好きじゃないかなぁ。


・『キャノン』……ケリー・リンク
巨大な大砲とそこから飛ばされる人間。
それを操縦する男へのインタビュー形式の短篇。
ケリー・リンクは最近、要注目作家らしく、よく掲載される。
今まで読んだのはぶっちゃけ、何が面白いのかさっぱりだったけど、
今回のはけっこう好きかも。
相変わらずわけわかんないけど(笑)
これ、ファンタジーか? と言う以前に小説か? って感じ。
個人的には今月イチオシ。


・『ディスチャージ』……クリストファー・プリースト
久々の登場のプリースト。
3000年もの間、戦争の続くドリーム・アーキペラゴという多島海を舞台にした連作の一篇。
行軍を続ける兵士。
彼には記憶がなく、ただ絵画への愛だけが、心にあった。
戦地に向かう途中に立ち寄った島。
そこは、アシゾーンという画家の出身地で、ふとその名前が記憶に昇った。
アシゾーンの作品をこよなく愛していたのだ。
絶え間なく移動する戦場から脱走し、彼は再びアシゾーンの絵を求める……
しっかり書きこまれているにもかかわらず、わけ分かりません。
いや、わけが分からないと言うか、なんなのか理由がわからないといった感じ。
全く敵の影が見えないのに、戦っていると言う情報と常に移動する戦場。
アシゾーンの絵から感じたヴィジョンと全く同じ光景をもたらす娼婦。
失われた軍隊以前の自分の記憶。
その全てが、なんなのか?
『逆転世界』ちょっと通じるものがあるかも。


年末からプラチナ・ファンタジィという文庫内叢書が出るそうだ。
そのラインナップ。
・『魔法使いとリリス』……シャロン・シン
・『塵クジラの海』……ブルース・スターリング
・『プレスティージ』……クリストファー・プリースト
・『スペシャリストの帽子』……ケリー・リンク
・『魔法の眼鏡』……ジェイムズ・P・ブレイロック
ヒロイック・ファンジィ、エピック・ファンタジィでないファンタジィのシリーズのかな。
本値で買いそうなのはプリーストとリンク。
ブレイロックも久々だね。