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異形の愛

異形の愛

『異形の愛』キャサリン・ダン(ペヨトル工房)読了。
ずーっと前から持ってたんだけど、なかなか読む踏ん切りがつかなかった。
しかし、これを読まずして、何を語る! というわけで手に取る。
……あらかじめわかってたことだけど、これは読む人選ぶよなー。俺でも、生理的にぞわぞわしたもの。
『異形の愛』=(『フリークス』+『ピンクフラミンゴ』)の二乗って感じ。

主人公の語る、サーカス一家の家族と愛の物語。ビネウスキ一家は旅のサーカス一座。さびれてきた一座に客を集めるために、座長は妻に様々な薬を飲ませて奇形児を産ませることを思いつく。長男はアザラシ少年、長女&次女はシャム双生児、三女(主人公)はせむしの白子の小人、末っ子は……。他にも兄弟たちが瓶の中に入って展示されている。最初はサーカスも順調にいくが、長男を崇め、自らの手足を切り落とすカルト集団が形成され、それが崩壊へとつながる……

簡単なあらすじとしてはこんな感じ。
スタージョンのフリークスが観客的な視点なら、こちらは一般人が見てはいけないバックヤード的。
それだけに、ぶよぶよとしたべとつく気持ち悪さがある。特にカルトの部分はかなり気分悪くなった。
最初、作者はどういうスタンスなのかと思ってたけど、読後は愛が溢れていると確信。
フリークスの口から発せられる愛なんて、そうそう書けません。
映画『フリークス』のヒルトン姉妹のオマージュっぽいシーンも出てきてニヤリ。
読む人はあまりいないだろうけど、読むときは青土社の『フリークス』を是非座右に。
これが出たときは、ティム・バートンで映画化進行中って書いてあったけど、多分無理だろうな。
内容もそうだけど、今のバートンには(笑)。
バットマンリターンズ』の頃のスピリットを取り戻してくれればなぁ。
まー、オススメは……しない。