SOME OF YOUR BLOOD

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)

『きみの血を』シオドア・スタージョン(ハヤカワNV)読了。
幻の作品がついに文庫化!
題名からヴァンパイアものかと思ってましたが、広義での吸血鬼ものと言ったところ。
今で言うサイコ・サスペンスの走りって感じもするかな。

ある一兵士が手紙のことで自分を呼びつけた少佐を殴り、精神病院に運ばれてくる。なぜ、彼はそれに及んだのか? 手紙には何が書いてあったのか?

それがミステリ仕立てで解かれていく様子を、
彼の独白と、医師との質疑応答、医師とその上司の書簡という形で語られていく。
ずっと会話調なので読みやすいんだけど、その中に散りばめられた伏線に気付かずに行ってしまうので注意。
診断のために書く自伝のようなレポートと心理テストによって引き出される異様なビジョンに隠された真実!
それが、ラストに『ああ!』と頷かずにはいられない。
君は小説を読んでいるんだよ、という始まり方なんだけど、これが最後でまた気持ち悪い。


やっぱスタージョンは読まんといかんね。
今度短編集出る予定だし、それを買いますか。


それにしても、なんでこういうのを絶版にするかね。
いい加減ダーシー卿シリーズの復刊を願う!