今月の『SFマガジン』はマイケル・クライトンの『プレイ』発売に合わせたナノテク特集。


翻訳短篇は、本邦初訳作家二人。


キャスリン・アン・グーナン『ひまわり』
ナノテクテロによって、妻と娘を亡くした主人公。彼女たちが死の間際に見たものは何だったのか?
彼も、二人が吸った脳を超活性させるナノを求めるが……。
超感覚を得た人間が光の向こうに何を見るのか? というような精神的探求(スペキュレイティヴ・フィクションか?)ものはよくあるけど、
これはナノマシンによってそれがもたらされるわけだ。
個人的には、そんなに気に入らなかったかな。


シェイン・タートロット『ナノボクサー』
近未来、ボクシングはナノテクによって強化されていた。
神経繊維を強化してパンチドランカーにならないようにし、怪我なども治癒しやすくしているのだ。
ボクサーのバックにはナノ企業がスポンサーとしてついており、そこと契約して試合をしている。
そのため、選手たちは……。
こっちの方が好み。試合に合わせたナノマシンを打っていくのは『銃夢』のモーターボール編に近いかも。
それでも、選手たちが自由にならないものがある。
それを何とかしようとするのがこの話。


一昔前のナノマシンは、あらゆることが可能で、変容させられる魔法のアイテムって言う感じだったけど、
今はもうそれは流行じゃないのね。強化薬程度の扱い。
その方が現実味があるのかもしれないけどね。
『ブラッド・ミュージック』のヴィジョンもたまらないけどねぇ。