チェコアニメ新世代』を見てきた。
チェコ人形アニメーションの新人監督の作品上映会。


日本に入ってくるのはトルンカやポヤルのような大御所の過去の作品か、新しいのはシュワンクマイエルだったりで、他にはいないのかと思っていたら、ちゃんと今現在も生まれているというのは素晴らしい。
ただ、チェコの分離独立によって、資本主義が入ってきたから、アートアニメーションはかなりの変革を迫られたらしい。
今までは国営で製作していたのが、今は民営スタジオで作られているから、当然収益をあげなければならない。
だから、娯楽として明るく気楽に見られる作品が作られているんだけど、その反面、ストイックさがなくなっている気がする。


まー、このストイックさってのが、金を気にしなくていい国営映画でもあるんだけど、かつてのチェコ作品はそこが良くて、まるで無駄がなく、洗練されていたと思う。


また、アートアニメーションによる娯楽と言うことでなのか、アードマンの影響も見られる。
『手』みたいな傑作はもう出ないかもしれない。あれは、まさに国営ならではのプレッシャーだったのだと思う。
と言いつつ、新作が見られるのは純粋にうれしいけどね。


さて、気に入ったのは、ブベニーチェク。
この監督のキャラクターは造型が凄いアニメ的。
『海賊』の主人公の老海賊がかなり気に入った。
作品そのものはちょっと冗長過ぎるけど。
それから、『3人のフーさん』
これは人形ではなく、紙に描いたドローイングアニメーション。これはいいです。


バレイの『ワンナイト・イン・ワンタウン』
これは人形アニメーション版『トワイライトゾーン』と言った趣のオムニバス。
こう言うのってありそうで、実は今まで見たことがなかった。
ハリーハウゼンも、ファンタジー人形アニメーションが一番いい、と言っているように、幻想と怪奇は非常に似合う。


そして、クリムト。これからのチェコアニメはこの人が引っ張っていくのかも。
総合的な完成度は一番高いと思う。
注目していかねば。