「まったく、ここはSFのページのはずなのに、日記だけ見てると漫画ヲタクにしか見えないわよね」
「ほんとだよなぁ。でも、ここの館長の読書量じゃ、SF論なんてかませないし」
「SF論なんてのは、頭のいい人に任せておけばいいのよ」
「じゃあ、どうすればいいのさ?」
「だからぁ、せめて毎日毎日、漫画のことばっかり書くのは控えてほしいってだけ。他に書くことないのかしら?」
「うーん。そうだ! 今日はバンド・デシネについてなんか言ってたな」
「なに、それ? なんか、インテリでアートな響きがするじゃない」
「僕もよくわかんないんだけどね……」


河出からエンキ・ビラルの『ニコポル三部作』が出るのはご存知の通り。
今まで髪の毛の色は普通が一番、だったのが、『ティコ・ムーン』や『ニコポル』を見て以来、
赤や青でもかっこいいな、と転換したほどビラルの作品は強烈だった。
で、今回やっと待ち望んでいた日本語訳が出たのでさっそく、喜び勇んで本屋で中身を見た
……なんか、がっくり。


あの、かっこよさがない。
何がいけないのかと思ったら、その活字だ。
原語だと手書きだから、それが絵と一体化していたのに、
日本語は活字にしたもんだから、妙に浮いている。なんか、イラストに他人の手が入った感じだ。
せめて、手書き風の活字にしてくれればいいものを。
そんなわけでまだ未購入。読めないけど、フランス語で買うかな。


「分かった、分かった。バンド・デシネ=フランスコミック、みたいな意味らしい」
「やっぱり、漫画……」