REAL STEEL

『リアル・スティール』鑑賞
マシスンの短編小説*1の映画化。


男汁みなぎると言うか、クレイジーというか、そんな原作が好きな者にとって、宣伝の時点で、全然内容違うよなぁという印象は全く裏切られない(笑)
ロボットがボクシングするというネタだけで、ストーリーは完全な別物。


もろもろ気になる点があって、細かい点を上げると切りがないんだけど、ロボットボクシングがあの世界でどれくらいの存在なのかはっきりしないんだよね。今のメジャーリーグ級のレベルなのか、珍妙なXゲームなのか。
世界的に注目されるようなものなら、レギュレーションをしっかりした方がよくね? 操縦者が二人いるとかさ。話ずれるけど、あの双頭のロボットって、二人で操る意味ないよな。手が四本あるとかならまだわかるけど(笑)
ATOMが強い理由がはっきりしないのもイマイチ。〈彷徨える艦隊〉シリーズ*2のように、誰もが忘れたような古い戦法が強みになってる、ということだと思うんだけど、そこをもうちょっと強調してくれないと、ゼウスチームがATOMを欲しがる理由もぼやけちゃう。
それと、マックスの年齢を間違えるシーンがやたらに出てくるのは、無意味になってる。
あと、ATOMが言葉がわかるって何?


とは言っても、実写『プラレス三四郎*3なのに、ボクシング映画演出されると、熱くなるものがあるのは確か。
また、原作のキモである展開を、珍しいシャドーモードという設定を生かして、ラストに集約させた手際は見事。


ベイリーの首筋から肩のラインが、『LOST』*4のケイトに似てるなぁ、と思ったら、やはりエヴァンジェリン・リリーでしたか。あと、ヒュー・ジャックマンの長身とスタイルの良さに、改めてウルヴァリンにしてはデカすぎるね。

MONEY BALL

『マネーボール』鑑賞
同名ノンフィクション*1の映画化。


まず、『メジャーリーグ*2みたいな作品を期待していくと、確実に肩透かし。


結論から言うと、全く野球に興味ないのが幸いしたのか、個人的にはなかなか楽しめた。
メジャーリーグをよく知っている人ならまた深く楽しめるかも知れないけど、日本にいないGMを主人公としているから、中途半端に、台詞のみで事情を読み取ろうとすると、集中できないかも。


野球シーンはほとんど出てこず、裏方でありながら、野球チーム構成の最重要人物、ゼネラルマネージャーが主人公。そして、彼が推し進める、それまでのメジャーリーグ界の常識に反するセイバーメトリクスという理論がもう一つの主人公。
ブラッド・ピット演じるビリー・ビーンは改革者らしい独善性とエキセントリックさ、システマティックな思考を持ち、また視点がプレイヤーにないため、他の野球映画のように感情移入しにくい。
感情面でも、理論面でも、観客との橋渡し役が、ビーンの補佐となるピーター・ブランド。しかし、彼もまた決して選手側の人間ではない。


この映画は、コンゲームものと言うと語弊があるけど、理詰めで畳み掛けるような交渉を楽しむ作品。前半の見所、旧弊なスカウトとの舌戦は非常に小気味いい。
選手をポーカーのカードのように扱っているため、通常の野球映画の様な視点をイメージするとかなり冷酷な印象を持っちゃうけど、終盤に出てくるトレードの電話は非常にエキサイティング。
定番の展開なら、20連勝で盛り上がっていくはずが、そこがこの映画では欠如している。しかし、どちらの戦いに焦点が合わせられているのか、言わずもがな。


統計だけで野球を組み立て、システマティックな思考しかしないと断言するビリー・ビーンだけど、その反面で、ジンクスを信じ、ピーターが見せるビデオ、フェードアウトしていく娘の歌に「フィールド・オブ・ドリームス」を残すラストがいい。