DADDY LONG LEGS

あしながおじさん (新潮文庫)

あしながおじさん (新潮文庫)

あしながおじさんジーン・ウェブスター新潮文庫

お茶目で愛すべき孤児ジルーシャに突然すてきな幸福が訪れた。月に一回、学生生活を書き送る約束で、彼女を大学に入れてくれるという親切な紳士が現われたのだ。彼女はその好意にこたえて、名を明かさないその紳士を“あしながおじさん"と名づけ、日常の出来事をユーモアあふれる挿絵入りの手紙にして送りつづけるが……このあしながおじさんの正体は? 楽しい長編小説。

実は読んだことないし、そもそも、概略しか知らないので着手。


孤児院で目に止まった少女を支援する男。
数年後、二人は結婚し、不自由なく暮らすが、屋敷には「開かずの間」があった。
彼が外出した隙を見て、その部屋に足を踏み入れると……!?


というシーンはありませんでした。


完全に書簡集というていで、"あしながおじさん"が読者の前に現れることはないのね。全ては、ジュディのフィルターを通した「信用出来ない語り手」ものw


ジュディが"あしながおじさん"に思慕の情を寄せるのは無理はないけど、彼の方はどういう意図があるのか全くわからないんだよね。
"あしながおじさん"との間に齟齬があるとジャーヴィスさんが優しく現れ、ジャーヴィスさんと諍いがあると、"あしながおじさん"に心情を吐露する。そうやって、少女の感情を揺さぶって、何人も誑かしてきたんじゃないかなぁ。いい年して独身だし。


ジュディは想像力があり、聡明だから、実は、ジャーヴィスさんの変態性を看破していて、手紙でSOSを送ってたんじゃないの? 
まぁ、それも無駄に終わるんだけどね……


そういう可能性を除外すると、ジュディはひじょうに魅力的。
頭が切れ、弁が立ち、貧しい出自に卑屈になることなく、優しい心を持ってるけど、皮肉とユーモアにも溢れている。そして頑固。
世界名作劇場』のアンやトム・ソーヤーに連なるキャラクター。
彼女のキャラだけで読ませちゃう。


あと、わからないのが、ジュディ言うところの「異常な画才」。
はっきり言って下手w
これは、実は上手い設定なのか、上手いと思っているのか、自分で揶揄しているのか、挿絵が作者自身によるものだから全く判断がつかない。
もしくは、心の闇か……