SFマガジン700【海外篇】
- 作者: アーサー・C・クラーク,ロバート・シェクリイ,ジョージ・R・R・マーティン,ラリイ・ニーヴン,ブルース・スターリング,ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,イアン・マクドナルド,グレッグ・イーガン,アーシュラ・K・ル・グィン,コニー・ウィリス,パオロ・バチガルピ,テッド・チャン,山岸真,小隅黎,中村融,酒井昭伸,小川隆,伊藤典夫,古沢嘉通,小尾芙佐,大森望,中原尚哉
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/05/23
- メディア: 文庫
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1959年の創刊から、つねにSF界を牽引してきた〈SFマガジン〉の創刊700号を記念する集大成的アンソロジー【海外篇】。黎明期の誌面を飾ったクラーク、シェクリイら巨匠。ティプトリー、ル・グィン、マーティン、ウィリスら各年代を代表する作家たち。そして、現在SFの最先端であるイーガン、チャン、パチガルピまで。SF史を語る上で欠くことのできない作家12人の短篇を収録。オール短篇集初収録作品で贈る傑作選。編者・山岸真による「編集後記」も併録
収録作品
・「遭難者」 ……アーサー・C・クラーク
・「危険の報酬」 ……ロバート・シェクリイ
・「夜明けとともに霧は沈み」 ……ジョージ・R・R・マーティン
・「ホール・マン」 ……ラリイ・ニーヴン
・「江戸の花」 ……ブルース・スターリング
・「いっしょに生きよう」 ……ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
・「耳を澄まして」 ……イアン・マクドナルド
・「対称(シンメトリー)」 ……グレッグ・イーガン
・「孤独」 ……アーシュラ・K・ル・グィン
・「ポータルズ・ノンストップ」 ……コニー・ウィリス
・「小さき供物」 ……パオロ・バチガルピ
・「息吹」 ……テッド・チャン
個人短篇集未収録の作品ばかりを集めたSFマガジン700号記念アンソロジー。
当然のように傑作だけの粒ぞろい。ただ、2400以上の掲載翻訳短篇の中から12本って少ないよな〜。
あと2冊、せめて非英語圏でもう1冊欲しかったなぁ。
イーガン、ウィリス、バチガルピ、チャンは入れるべきだし、どれも未収録という縛りではベストなチョイスだけど、最近の掲載作は全部雑誌で読んでいるので、お得感が薄い。しかも、いずれ短篇集に入る可能性大だし、それ入れるなら古い作品を……でも、イーガンとチャンが入ってないというのもありえないし、とアンビバレンツな想いがw
ただ、古い作品の方が手に入れにくいのは事実だから、やはりもう一冊欲しいよね。
お気に入りは、
・「危険の報酬」 ……ロバート・シェクリイ
『バトルランナー』*1というか、現在のリアリティショーを先取りしたような短篇。
50年以上前の作品なのに、今のTVがこのまま進んじゃたら、これが実現してしまいそうな恐ろしさがある。
・「夜明けとともに霧は沈み」 ……ジョージ・R・R・マーティン
マーティンらしい宇宙冒険&異星生物もの、と思いきや、失われたもの、寂れゆく景色に対する哀しみと憤りが描かれる。
惑星を覆う霧がまた、そのをリリシズムを彩る。
・「江戸の花」 ……ブルース・スターリング
珍妙な和風スチームパンク、を予想してると大ハズレ。
まるで違和感ない明治の風景。
時代の変革、意識の変化を、新たなテクノロジー=魔物(避けがたい力)と重ねあわせて描く。
・「小さき供物」 ……パオロ・バチガルピ
SFMで既読。
ちょっと希望ある(?)「第六ポンプ」*2的未来といったところ。
現在から見ればぎょっとするようなことでも、自分がその時そこにいたのなら、それを全否定できるのか?というモラルを見せつけられるのがSF。
これがその年の読者賞にランクインしなかったのが未だに不思議。
・「息吹」 ……テッド・チャン
SFMで既読。
個人的には。人形アニメーションとして脳内上映。
奇想的な世界に精密機械のような描写で触感を与え、
短い中に、あらゆるエントロピーの終末を描ききったのは、SFならでは! チャンならでは!
今回のATBでは35位だけど、次回はもっと上位に来るはず。