Jack Ritchie’s Wonderland

撲殺体の額には、口紅でAの文字が書かれていた。さらに額にBの文字のある死体が……(「ABC連続殺人事件」)。大学で二人の天才学生が同部屋になる。一方は13歳、一方は57歳。少年は最近、年長者を殺害したがり始めた(「学問の道」)。いま飛び降り自殺をしようとする男が自分の駄目さを嘆く、が、説得する刑事自身が自分の駄目ぶりを話し出す(「下ですか?」)。巧みな展開と伏線、おとぼけなユーモアセンス、してやられたと感嘆する結末が待ち受ける!――あらゆる手段を用いた絶品23篇収録のオリジナル短篇集。


・「儲けは山分け」
・「寝た子を起こすな」
・「ABC連続殺人事件」
・「もう一つのメッセージ」
・「学問の道」
・「マッコイ一等兵南北戦争
・「リヒテンシュタイン盗塁王
・「下ですか?」
・「隠しカメラは知っていた」
・「味を隠せ」
・「ジェミニ74号でのチェス・ゲーム」
・「金の卵」
・「子供のお手柄」
・「ビッグ・トニーの三人娘」
・「ポンコツから愛をこめて」
・「殺人境界線」
・「長初の客」
・「仇討ち」
・「保安官が歩いた日」
・「猿男」
・「三つ目の願いごと」
・「フレディー」
・「ダヴェンポート」

リッチーの短篇集は全部読んでるんだけど「リッチー作品はまとめて読むと似たような印象の作品が多いんで面白さが薄れる」というような感想を毎度抱く。
しかし、本書は、リッチーの多才ぶりを紹介するような作りでバラエティに富んでいて、しかも、ロマンスあり、ウェスタンありの全篇初訳!
ターンバックルものだけは、カーデュラ*1みたいにまとめて読みたいな〜


お気に入りは、
・「ABC連続殺人事件」
額にアルファベットを書かれた連続殺人事件。
ターンバックルは次の被害者を推理するが……


・「学問の道」
すでに37年間も大学にいる男。
彼はあと一年でもらえる信託基金を狙って、在籍していた。
しかし、もう一人、ライバルの少年がいて……


・「リヒテンシュタイン盗塁王
リヒテンシュタインからの留学生。
彼は盗塁が得意で、チームは連勝を続けるが……


・「隠しカメラは知っていた」
強盗に襲われた銀行。
警部補は、その防犯カメラを怪しむが……


・「金の卵」
大富豪の側近から、勘当した娘とその子供を探してほしいと依頼された探偵。
しかし、娘も子供すでに亡くなり、さらに……


・「長初の客」
強盗に入られたマーケット。
店主は男を何とかなだめようとするが……


・「フレディー」
ある街にやってきた男。
そこはなぜか気分がいいのだが、実は宇宙人が支配していて……


・「ダヴェンポート」
突然姿を消した男。
彼はどこに?