Le Crocodile
- 作者: ルイ=クロード・ドサン=マルタン,今野喜和人
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2013/04/01
- メディア: 単行本
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フランス革命前夜、ルイ15世治世下のパリ。不吉な天文現象がパリに災いが起きることを予告するなか、飢饉の波が押し寄せ、財務総監の無策に怒った民衆による反乱が勃発する。その時、突如巨大な鰐の姿をした怪物が姿を現し、瞬時のうちに反乱軍と正規軍を呑み込んでしまう。暴徒を操る怪物に対し、異能の持ち主エレアザールは、超自然的存在の助けを借り、超能力を駆使して、怪物と配下の精霊に戦いを挑む。怪物の正体とは? 怪物の目的とは? 魔術、笑劇、SF的発想をふんだんにちりばめながら、世界中の海、陸、地下、天上、そして古代ギリシアへのタイムトラベルまで、時空を超越する物語によって西洋近代批判を展開した、18世紀フランス最大の神秘思想家による奇書中の奇書。
『帝都物語』*1、『幻魔大戦』*2、〈イルミナティ〉*3それらを足した……いや、それらの源流のような作品。
歴史開闢以来、闇から人類社会を操り、文化・学問を意のままのしてきた巨大な怪物クロコディル。その配下である精霊たちや、〈貫禄のある女〉〈のっぽの痩せ男〉が操る暴徒がパリで反乱を起こし、ついには地下からクロコディルが姿を現す。
それに対するは、異能の力を駆使する神秘学者エレアザールや、秘密結社〈独立者の会〉。
ついに両者の、サブロンの野で対決が迫る!
とか、書くと面白そうじゃない?
いや、嘘じゃないし、ストーリーを抜き出すとこうなんだけど、それと同時に、神秘思想家である作者の思想小説である部分も非常に大きく、神秘の理論や秘密が込められた長い長いセリフや描写は正直よくわからない。
人間や言語のそのまま地下に残された古代ギリシアの町や、『足洗邸の住人たち。』*4の終盤を思わせるラストバトル(?)とか、面白いシーンもあるにはあるんだけど、申し訳ないけど飛ばし読みしてしまいました。
小説的描写と神秘理論とオカルト薀蓄が同一レイヤーな文章は、なんか見覚えあるんだよなぁ。やはり『帝都物語』?
澁澤、種村に毒された中二病罹患者はオススメ! としておこうかな。