THE CRACK IN SPACE

空間亀裂 (創元SF文庫)

空間亀裂 (創元SF文庫)

時間理論を応用してつくられた超高速移動機の内部に亀裂が発見された。そこからは別の時間、別の世界が覗き見られるという……。ときに西暦2080年、ブリスキンは史上初の黒人大統領候補となった。この時代、世界は人口爆発に苦しんでおり、避妊薬は無料となり、売春が法的に認可されている。また白人と黒人の人口比逆転に対し、数千万人の有色人が凍民となって連邦特別福祉局の寮庫で眠りにつかされていた。ブリスキンは、かつて夢見られ今は放棄された惑星殖民の再開を宣言するが……。本邦初訳長編!

名高い過去作を読まず、初訳作品ばかり読んで、怒られてる俺が来ましたよ。


どう頑張っても、『未来医師』*1よりは面白い、という褒め言葉しか思いつきません!


よく言えば、次から次へとガジェットが投入され、めまぐるしくストーリーが展開していく、と表現できなくもないけど、ぶっちゃけ、一つ一つの深みが皆無で、浅瀬を滑っていくようにして、何も考えずに物語が進行していく。
読者に予想の隙を与える暇もなく、事態とキャラクターが勝手に物事を解決してくれる。


ペース配分も悪く、空間亀裂の向こう側の脅威が出てくるのが半ば過ぎてから。
しかも、それが出てきたからといって、緊張感が高まることはなく、むしろ要素が増え多分、駆け足の速度は早まるばかり。


破綻してない分、余計に始末が悪い(笑)
普通に面白くないSF以上でも以下でもない。


ガジェットのそれぞれは悪くないんだよなぁ。
イデアスケッチをめくっている感じに近いかも。


ディックを全然読んでない人間が言うのもなんだけど、読み尽くした上級者以外には読む必要なし。