The Raven

『推理作家ポー 最期の5日間』鑑賞


ポーは「レイノルズ、レイノルズ……」とつぶやき、酩酊状態で発見され、最期を迎える。死の直前に何をしていたかは不明で、この映画では、そこで恋人の命を懸けて、連続殺人犯を追っていたということになっている。
だから、それを踏まえると、レイノルズが誰か、となりそうだけど、そういうストーリーテリングではないんだよね。


物語は、『セブン』*1七つの大罪をポーの作品にしている、という感じ、かなぁ……
ポーの作品に不勉強なんで、あまりピンとこなかったのもあるのかもしれないけど、目を引く殺害方法が振り子くらいなんだよね。生きたまま壁に塗り込めちゃうとか、そういうのがもっとあると思ってたんだけど。
『セブン』はそのショッキングさだけを取り出しても衝撃的だったので、改めて上手さを感じてしまった。


ネタバレ注意


また、この手の作品は、ラストの犯人なり、動機がわかることによって、カタルシスを得るものだけど、それが非常に薄い。
ヴェルヌの作品にもレイノルズというキャラが出てくるとか、そこに繋げないと、ヴェルヌの名前を出した意味が無い。


結局、映画と史実が擦り寄っているのは、酩酊状態で発見されたところだけ。
もし、作中のように新聞で犯人と戦っていたのなら、それがなぜ記録に残っていないのか? あそこまで関係者がいながら、今では死の直前に何をしていたかが不明、という理由を提示してくれないと、隠された真実、という作品の意味がなくなる。