FROG AND TOAD ARE FRIENDS

ふたりはともだち (ミセスこどもの本)

ふたりはともだち (ミセスこどもの本)

ローベルの代表作とも言える「がまくんとかえるくん」のシリーズ。
ちょっと間の抜けた、しかし、温かみがあり、愛らしい二人の日々と友情を描いえている。
特に「おてがみ」は小学校の教科書に採用されていることで知っている人も多いのでは?(私もその口)


がまくんに同情したり、かたつむりに手紙を託しちゃうかえるくんの間抜けさを笑ったり、ラストの友情にほっこりしたり、はたまた可愛らしい絵が気に入るだけでもいい。


しかし! 作品と知り合って、四半世紀以上。気づいちゃったんだけど、これ、BLじゃね?


シリーズ通して、かえるくんの猛烈なアプローチとノンケのんきながまくん、という構図が見えてくる。
上記した「おてがみ」は、遅いかたつむりに手紙を託してしまうところに、万国共通な微笑ましさが生まれるという効果があるんだけど、知恵者のかえるくんがそんなヘマをするはずはないし、そもそもかたつむりは知り合いなんだから、遅いのを知らないはずがない。
では、なぜ、そんなかたつむりに手紙を託したのか?
かえるくんは当然手紙が届くことを知っているから、「手紙が来るかもしれない」という口実でがまくんと一緒に待つ。しかも、遅配されるのだから、それだけ長く二人きりでいられるという企み。
途中、「手紙なんて来るはずがない」というがまくんの悪態さえ、かえるくんには刺激として織り込み済みだったのかも。
『泣いた赤鬼』の青鬼のような滅私ではなく、完全にかえるくんは利己的行動ですよ。


なんて感想を当時書いたら、親が呼び出されていたかも(笑)


しかし、「すいえい」*1のがまくんが水着を着ているのに、かえるくんは全裸という体育会系ホモソーシャル感、「そりすべり」*2の着替えを手伝ってあげる甲斐甲斐しさなど、彼の性癖はあちこちに見える。


「クッキー」*3において、

いしりょくって いうのはね ほんとに したいと おもって いる ことを しないで がまんする ことさ

と諦めとも、告白ともとれる、かえるくんの台詞がある。これを言ったことによって、がまくんとは友人でいようと決めたのかもしれない。がまくんもクッキーを作ってくるなんて罪作りだけど(笑)
そのがまくんにラストで、

かえるくん、いしりょくは ぜんぶ きみに あげるよ。

と言われて、かえるくんは恋心を再燃させたに違いない。


そして、シリーズ最後の「ひとりきり」*4(タイトルも意味深)
この作品において、かえるくんは最後の攻撃を仕掛ける。
ひとりきりになりたい、という手紙を残して、かえるくんは池に行ってしまう。
がまくんに対して、これは捨て身の攻撃といえる。ノンケのんきながまくんはそれを文字通り受け取ってしまうか、それとも駆け引きに応えてくれるのか、それは読んでのお楽しみ。


「FROG AND TOAD」を「ふたり」を訳したのはほんとに秀逸だよね(全方位的にフォロー)