HOW I KILLED PLUTO AND WHY IT HAD IT COMING
- 作者: マイク・ブラウン,梶山あゆみ
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2012/05/17
- メディア: 単行本
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2006年、冥王星が惑星から外された、というニュースを覚えている人もいるでしょう。
その顛末を、冥王星に引導を渡した本人が記したノンフィクション。
そもそも、「惑星って何?」という問いに答えられる人は少ないのではないだろうか?
また、マイク・ブラウンは第十惑星、通称ジーナの発見者でもあるが、冥王星を降格させるということは、大発見のジーナも惑星から外すということ。
しかも、それを率先したのが発見者である彼であり、極めてユニークな事態であると同時に、彼の科学者としての信念が見て取れる。
前半は彼の天文人生とともに天文学概説がわかりやすく、コミカルに書かれている。
彼はデータ大好き人間で、妻の陣痛のグラフ化や冷凍母乳のデータベース化(案)など、奥さんでなくともいいかげんにしろと言いたくなる(笑)
後半、現在だからこそ可能な発見の横取り、また半可通のアマチュアによる非難。Twitterによくあるけど、Wikipediaを参考にした素人の、専門家に対するイチャモンって何なんだろうね(笑)
この、ネットで世界中がつながっているからこその利便性と危機感。発見が盗まれる様子は、クライムムービーのようでもあり、非常にスリリング。
そして、国際天文学連合の総会を舞台にしたクライマックス。
冥王星を惑星に残そうとする一派との息詰まる攻防!
冥王星が惑星から降格したのも、残そうとするのも、感情論と概念でしかないのが面白い。
ジーナは今は正式名称エリスになっているのだが、これが不和と争いの女神の名前というのも、ドラマチックな符合。
星にはあまり興味はないんだけど、それでも空を見上げたくなる。