THE HELP

『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』鑑賞





同名小説*1の映画化。
ヘルプとはお手伝いさんのことで、ここでは特に黒人メイドを指す。


嵐が来ていても、外の黒人専用トイレを使えと命じるほど、まさに『ミシシッピーバーニング』*2なんだけど、これほど色彩豊かに、ユーモアを交えて描かれているのが素晴らしい。


まず、眼を引くのが、THE USA!ともいうべき、アメリカ文化。巨大なアメ車、着せ替え人形のようなファッション、数々の料理。しかも、それらは時代を現す小道具というだけでなく、映画のテーマとしても機能している。
黒人専用のバス、地味なヘルプ服、自慢の料理でさえヘルプの手によるもの。この料理の扱い方は見事で、白人に仕えている情況の象徴であり、同時に友情の証としても使われる。そして、最後まで引っ張る、涙と笑いのキーアイテムでもある。


テーマはわかりやすく、差別を扱っている。
それは黒人差別だけでなく、南部における本人たちも気づいていない女性差別。そして、白人奥様連中内での階級差別
また、ダブルスタンダードの物語でもあり、一切育児は黒人メイドに任せておきながら、衛生のためと称して黒人専用トイレを作るという矛盾。ヘルプの息子の大学進学費用は貸さないくせに、アフリカの恵まれない子供たちに寄付を募る件は笑うしかない。
持たざる者たちの勇気であり、物語中盤、白人のヘルプとして働く彼女たちが、自ら主人公のインタビューをヘルプすると集まるシーンで涙腺に来る。
それが実際に形となって店頭に並んで、また涙。


キャラクターは主人公演じるエマ・ストーンは可愛いんだけど、やはり、ミニー演じるオクタヴィア・スペンサーが強烈。コミックリリーフ的な顔なんだけど、同時に非常に意思が強く、毒舌を吐きそうな表情してるんだよね。
また、ミニーと友情で結ばれるシーリアがいいんだよなぁ。天真爛漫で天然なブロンド美女。彼女の存在が息抜きになっていて、同時に黒人も白人も同じ人間であるということを強くメッセージしている。彼女のラストもまた涙。


去年から、アカデミー賞受賞作は取り敢えず観に行くことにしているんだけどね。
今年は今のところ(『アーティスト』はまだだから断言できないけど)、この作品が一番好きだなぁ。


ところで、米国では、パイは袋とかに入れてかないの?