Carnage

『おとなのけんか』鑑賞





ヤスミナ・レザの戯曲『大人は、かく戦えり』をポランスキーが映画化。


子供の喧嘩で集まった二組の夫婦。
穏やかに話し合うはずが、夫婦間・男女間の問題にまで発展し……


出演者は4人、舞台はアパートの一室、展開はリアルタイム。
戯曲の映画化ということもあって、『12人の優しい日本人*1と食感が似てる印象。
会話だけで構成された密室劇、というのが嫌いでないんで、大いに楽しめた。売り言葉に買い言葉、というほどのものでなく、何気なくポロリとこぼれた言葉が玉突きのように、子供の喧嘩とはまるで関係ない話になっていく。


クリストフ・ヴァルツはやっぱ好きだなぁ。出てきただけで、何か企んでそう(笑)。特に今回は、常に携帯を手放せない弁護士役で、自分だけは他人事のように事態を観察している、という表情がその顔にぴったり。マイペースと間の悪さは素晴らしい。
その妻のケイト・ウィンスレットも一見理知的だけど……というパーソナリティが、くっきり眉に見事に現れている。そして、ゲロ。
ジョディ・フォスターの出演作を久々に観に来た気が……。さすがに年取ったなぁ、という感じなんだけど、自分は社会問題を常に考えている、インテリになり切れていない女性像が、細い体つきと髪型にみなぎっている。
ジョン・C・ライリーは一見、のんびりした夫なんだけど……。
それぞれがペルソナを剥がされ、真の表情が顕にされていく様子をコミカルに(本人たちは深刻なんだけど)映しだしていく。
個人的には携帯電話水没がツボ。男なら、敵対陣営でも、思わず乾かすの手伝いたくなっちゃうよね?(笑)