War Horse

『戦火の馬』鑑賞
同名の児童小説*1を映画化。


次々乗り手が変わる一頭の馬を通して、関わった人々の運命と戦争の残酷さを描いていく。


サラディンがリチャード獅子心王に馬を送った伝説にも通じる、馬ファンタジー
題名どおり、馬が主人公。馬の感情なんてわかるはずもないけど、「頑張るウマ!」と吹き出しをつけてしまうほど、馬の撮影と演出が見事。


画面上に血が全く出てこないため、かえって戯画感が強く、戦争の愚かしさを顕にしている。
個人的には、終盤の有刺鉄線に絡まったジョーイを助けるために、イギリス兵とドイツ兵が協力するシーンが涙腺に来た。陣営が異なっているから戦っているけど、人間としては同じだし、友人になれるはずなんだよね。二人がヘルメットを脱ぐシーンがそれを端的に表している。


また、第一次世界大戦の技術概略史にもなっている。19世紀然とした軍馬の突撃から、機関銃、臼砲、毒ガス、戦車と破壊力を増していく。観客はこの後も兵器が増大していくことを知っているけれども、そこに至るまでの短い間、主人公たちには奇蹟に浸らせてあげたい。