サヴァイヴ

サヴァイヴ

サヴァイヴ

サクリファイス*1、『エデン』*2のサイドストーリー的短篇集。

収録作品
・「老ネプトンの腹の中」
・「スピードの果て」
・「プロトンの中の孤独」
・「レミング
・「ゴールよりももっと遠く」
・「トウラーダ」

プロトンと引っ掛けて、様々な面を捉えたオムニバスは相性がいいと思ったんだけど、う〜ん、正直イマイチ。
ドラマの展開と同時にロードレースの説明もしなくてはいけないため、短篇だとひじょうに寸足らず。その意味だと、「プロトンの中の孤独」がそこそこの長さを持っていてバランスがよかった。
ただ、ドーピングや八百長の話ばかりで、正直爽快感がない。スキャンダルの方が物語を作りやすいのはわかるんだけど、作者はロードレース自体はあまり好きでないのかな? と勘ぐってしまう。


ツール・ド・フランスとかの放送で見た人ならわかると思うけど、あの風景と集団の遠景だけで、十分にドラマチック。しかも、選手同士の駆け引き、意地のぶつかり合い、吸収される逃げ、ゴールスプリント、天候……と暗部にスポットを当てずとも、いくらでも推進力となるドラマはあるわけで、あの疾走感、達成感、疲労感を描かないのは、もったいないと思ってしまう。


ロードレースものなら、漫画に秀作が多いから、小説では無理に読まなくてもいいかなぁ、という気分にさせられる。