The Tree of Life

『ツリー・オブ・ライフ』鑑賞


ショーン・ペンがエレベーターで登って下りる話。概ね間違ってないよ!?


冒頭にヨブ記の一節が読まれたり、神の恩寵と世俗、天を意識したショットが多く、キリスト教がテーマになっているのは説明するまでもない。
とはいっても、日本人にとって宗教はピンと来ない、と書いちゃうのはあまりにも能がない。
個人的にはエントロピーの物語として観た。
すべての映像が、上昇と下降、進化、人生、生老病死……さらに夫婦関係、善と悪、信仰でさえもエントロピーの流れの中。全てがなるようにしかなっていないように見える(意志があるようには見えない)ヨブ記も、その内に含まれるように思える。ただし、燃え尽きず次代を生み出す生命、そしてそれまで費やされたエネルギーを反転させられる"許し"という行為は、エントロピーを超えたもの。そこにいたって、ようやく神の存在に近づける。
ただ、流転する思想やなるようになるしかない、というのは東洋では受け入れやすく、まるで神の意思が図れず、もはや普通の災害レベルのヨブ記がテーマになるってのは、やはりちょっとピンと来ないかも。


悪人ではなく、むしろ家族に幸せになってもらいたいがゆえに、支配的(=世俗的)になってしまう父親をブラッド・ピットが演じる。彼の顎や肩の力強さが、当時のアメリカ的父親の強権を表しているよう。
一方で、父親の求める善とは逆の存在ながら、それが神の恩寵としての生き方を見せる、聖女(魔女?)のような母親を演じるのはジェシカ・チャステイン


最初危惧していたとおり、ひじょうに眠気を誘う作品なんだけど、なんとか耐える。睡眠不足で行かないほうが吉。
モルダウがかかると感動するように日本人はプログラミングされているので、そこでちょっと目が覚めるけど(笑)
映像は美しいんだけど、かなり長く、環境映像のような画面が続く。最初の20分くらいで出ていった客がいたけど、間違ったのか、飽きたのか。