LOOKING UP


『見上げてごらん。』ロバート・J・ソウヤー〈ハルコン・SF・シリーズ2011〉
昨年のストロス『雪玉に地獄で勝算はあるか?』に続き、今年のはるこんで販売されたオリジナル短篇集。
意外なことに、日本初の短篇集。ソウヤーって、日本ではあまり短篇が紹介されてないんだよね。


収録作品
・「星の光、星の輝き」Star Light, Star Bright
 遠未来、ダイソン球の表面に暮らす人類。
 ある日、子どもが無数の光る点が見えると言い出す。
 大人たちにそれは見えないのだが……


・「神の御子は今宵しも(いざ集え、信者たちよ)」Come All Ye Faithful
 無神論者しかいない火星で唯一のキリスト教会。
 地球では、TV伝道師が火星にマリアを見たと吹聴しており、バチカンからその調査を命じられる。
 火星の神父が見つけたものは?


・「巨人の肩に乗って」The Shoulders of Giants
 一千年以上をかけ、くじら座タウを目指す植民船。
 到着間近になるが、そこには文明が……


すっかり紹介されなくなっちゃったけど、やはりソウヤーは面白いなぁ。深読みとか、余韻なんてものは置いといて、純粋に「SFであることが楽しい」という表現がぴったり。
内田昌之氏の恨み節にも取れる解説が読み応えアリ(笑)。ネアンデール・パララックス*1はつまんないもんなぁ(ラストのギャフンオチ)。それまではコンスタントに訳されていたのに、あれを境に全く出なくなっちゃったから、理由は明らか。
個人的には、『さよならダイノサウルス』*2『ターミナル・エクスペリメント』*3『イリーガル・エイリアン』*4を読んだ時のワクワク感は忘れられない。また、邦訳を期待したいけどね……


この装丁は、パロディとしては最高レベル。来年以降も期待してます。