NO ONE BELONGS HERE MORE THAN YOU
- 作者: ミランダ・ジュライ,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/08/31
- メディア: ハードカバー
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以前読んだ2作が変な話だったので楽しみにしていた短篇集。
収録作品
・「共同パティオ」The Shared Patio
・「水泳チーム」The Swim Team
・「マジェスティ」Majesty
・「階段の男」The Man on the Stairs
・「妹」The Sister
・「その人」This Person
・「ロマンスだった」It Was Romance
・「何も必要としない何か」Something That Needs Nothing
・「わたしはドアにキスをする」I Kiss a Door
・「ラム・キエンの男の子」The Boy from Lam Kien
・「2003年のメイク・ラブ」Making Love in 2003
・「十の本当のこと」Ten True Things
・「動き」The Moves
・「モン・プレジール」Mon Plaisir
・「あざ」Birthmark
・「子供にお話を聞かせる方法」How to tell Stories to Children
映像作家ということもあるのか、奇行なのに、鮮やかにビジュアルが思い浮かぶ。
ガーリッシュ特有の気分の悪さはジュディ・バドニッツとちょっと味が似ているけど、イヤ純度はこちらが上か(笑)
息が詰まりそうな孤独。そこから逃れるための奇行や妄想。共感できる妄想から独りよがりな妄想。その妄想が終わってしまうことに対して、逆に不安を感じてしまうから、そこに頼ってしまう。
しかし、ある日、はっと妄想から醒めてしまう。でも、単なる孤独な状況に戻るわけじゃないんだよね。彼女たちには楽しかった日の思い出(妄想)があるから、前進か、少なくとも閉塞感からは抜け出せるはず。抜け出した先がハッピーかどうかはわからないけど。
お気に入りは、
・「水泳チーム」
川もプールもない町で、老人たちに洗面器で水泳を教えることになった女性。
これは傑作。 バタフライとか素晴らしすぎ。
主人公が、結局自分のことしか考えてなのもいい。
・「階段の男」
寝ていると、ゆっくりと誰かが階段を登ってくる気配がする……
これは共感できるなぁ。
・「妹」
既読*1。
友人から妹を紹介すると言われた還暦過ぎの男。
いつもすれ違いで彼女と会えないが、いつしか妄想恋愛するようになる。
ついに友人が、家で3人で飲もうと言ってくれて……
これはいい話(笑)
予想外のラストながら、しっかり変愛。
お一人様の老後の備えをしたいものです。
・「2003年のメイク・ラブ」
十代の頃、影にレイプされるが、それと愛し合うようになった作家志望の女性。
その影と再会することを待っているが……
いろんな意味で妄想とファンタジーの境目のない作品。
そこに現実を突きつけられ……
・「動き」
父から死ぬ前に、女の愛撫の動きを習った女性。
気づくと、人生訓にシフト。主人公が勘違いしてる気もするけど。