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暗殺のハムレット (ファージング?) (創元推理文庫)

暗殺のハムレット (ファージング?) (創元推理文庫)

ファージングII 暗殺のハムレット』ジョー・ウォルトン創元推理文庫279-06〉
ファージングI 英雄たちの朝』*1に続く、三部作の2本目。

ドイツと講和条約を締結して和平を得たイギリス。政府が強大な権限を得たことで、国民生活は徐々に圧迫されっつあった。そんな折、ロンドン郊外の女優宅で爆発事件が発生する。国内外で迫害されているユダヤ人のテロリストの犯行かと考えられたか、この爆発事件は、ひそかに進行する一大計画の一端であった。運命の糸に繰られるかのように計画へと巻きこまれていく女優ヴァイオラ。国家の在り方に疑問を抱きながらも、捜査を遂行せざるを得ない刑事カーマイケル。ふたりの切ない行路の行方は――。壮大なる歴史改編小説三部作、堂々の第二幕。

前もって言っときますが、このクオリティで三部作終わったら、改変ものの傑作に数えられるよなぁ。


まさに改変が始まろうとするところで終わった前作に続き、2巻は現在進行中の改変。登場人物のほとんどはもちろんその恐怖に気づかず、その先には悪夢の世界しかないことをわかっているのは観測者(読者)のみ。
だけど、その恐ろしさっていうのは、普遍的なんだよね。今現在、政府が導く先に何があるのか考えて、行動を起こそうとする人間なんてほとんどいないでしょう。
それに抗おうとする人々の運命を描いたのがこの作品。
それが正しいにせよ、間違っているにせよ、結果がすべて歴史となってしまうさまを目撃できるのが醍醐味。


あとがきにもあったけど、あらすじだけだと某映画に似ていて、主人公のヴァイオラは脳内補完で完全にメラニー・ロランですよ(笑)


今の段階でも十分面白いので、1巻から引き続きオススメ。完結巻も楽しみだなぁ。
ところで、原題って硬貨の単位になってるのかな?