THE LAST FREE CAT

地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)

地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)

『地球最後の野良猫』ジョン・ブレイク〈創元SF文庫736-01〉

猫はつっと顔をあげると、耳をレーダーのように動かし、アーモンド形の瞳を光らせた。右に左にすいっすいっと動くしっぽ、リスの尾のように毛がふさふさしたしっぽに、わたしは目を奪われた。それにつやつや光る黒と白とショウガ色の模様にも……。猫が致死性のインフルエンザを媒介するとして、一部の企業に厳密に管理される世界。ジェイドは庭に迷いこんだ一匹の猫に出会った。役所に届けば殺されてしまう。ジェイドは猫を隠れて飼うことを決意する。だがクラスメートのクリスに気づかれてしまい……。猫への愛にあふれたみずみずしい物語。

特に猫好きでなくても、この題名にはグッとくるなぁ。
とはいうものの、内容はYAを差し引いても、薄いなぁ。
少年少女の冒険がトントン拍子なのはいいとして、世界の広がりも奥行きも全く見えないのはなぁ。結局猫インフルエンザの真実やアイルランドの情勢は不明のまま。ひたすら猫を助けたいティーンエージャーの少女にとっては、そんなことは別のお話かもしれないけど、その割には猫の印象があまり……
ただ、ラストは結構ヘヴィでびっくり。ある意味、本当の成長物語で、世間を何も知らなかった少女が大人として成長した責任の取り方。