UNDER THE VOLCANO

火山の下 (EXLIBRIS CLASSICS) (エクス・リブリス・クラシックス)

火山の下 (EXLIBRIS CLASSICS) (エクス・リブリス・クラシックス)

『火山の下』マルカム・ラウリー白水社EX LIBRIS CLASSICS〉
世界文学の傑作を初訳/新訳で贈る新シリーズ《エクス・リブリス・クラシックス》の第1弾。

ポポカテペトルとイスタクシワトル。二つの火山を臨むメキシコ、クワウナワクの町で、元英国領事ジェフリー・ファーミンは、最愛の妻イヴォンヌに捨てられ、酒浸りの日々を送っている。一九三八年十一月の〈死者の日〉の朝、イヴォンヌが突然彼のもとに舞い戻ってくる。ぎこちなく再会した二人は、領事の腹違いの弟ヒューを伴って闘牛見物に出かけることに。しかし領事は心の底で妻を許すことができず、ますます酒に溺れていき、ドン・キホーテさながらに、破滅へと向かって衝動的に突き進んでいく。

やっ……と読了。
慣れないジャンル、字がみっしりの500ページ、濃密な文章。1週間かかってしまいました。
なかなか飲み込めず、正直趣味でないので、とても楽しめたとは言えないんだけど、ゆっくりと味合うように再読してもいいかも、と思わせる1冊。
ジェフリーを筆頭に主な登場人物は、すべて転落した人生の人々ばかり。祭りの日を背景に、ジェフリーのアルコール中毒による幻覚と幻聴、元妻と義弟の華やかとは言えない回想が語られる。情景の描写は細密で、その一つひとつを悲劇の予兆と解釈しながら読んでいくべきなのかも。
けっして、好物の変な話ではないけど、ジェフリーの地獄巡り的な酩酊はひじょうに迫力がある。